税金がかかりにくい?退職金
1.10種類の所得
所得税の計算上、収入は性質によって、次の10種類に区分されます。
・利子 ・配当 ・不動産 ・事業 ・給与
・退職 ・山林 ・譲渡 ・一時 ・雑
2.退職所得とは?
1で触れた10種類のうち、退職所得に区分される収入の例は次の通りです。
・勤務先から支払われる退職金
・中小企業退職金共済(中退共)及び建設業退職金共済(建退共)に基づき支払われる退職金
・小規模企業共済に基づき支払われる共済金で、支払事由が退職等であり、一括で受け取るもの
3.退職所得の計算方法
退職所得は次の算式により計算します。
(収入金額-退職所得控除額)×1/2
収入金額から差し引く退職所得控除額は、勤続期間が長いほど大きな額となります。退職所得控除額の計算方法は以下の通りです。
・勤続年数2年以下 80万円
・勤続年数3年~20年 40万円×勤続年数
・勤続年数21年以上 800万円+70万円×(勤続年数-20年)
4.計算事例
1,500万円を退職金として、また、給与収入、利息として受け取った場合に発生する所得税の額は次の通りです。
なお、計算の前提として、勤続年数20年の方が退職金を受け取ったものとし、いずれの計算についても各種控除額と復興特別所得税は加味していません。
①退職金
イ.(1,500万円-退職所得控除額40万円×20年)×1/2=350万円
ロ.350万円×所得税率20%-427,500=約28万円
所得税は約28万円
②給与
イ.1,500万円-給与所得控除額245万円=1,255万円
ロ.1,255万円×所得税率33%-153万6千円=約261万円
所得税は約261万円
③利子
1,500万円×所得税率33%-153万6千円=約342万円
所得税は約342万円
5.勤労収入は優遇されている?
1で所得税の計算上、所得は10種類に区分されると触れましたが、勤労に基づき得た所得は税金がかかりにくく、利子・配当・不動産などの不労所得は税金がかかりやすくなっています。
4の事例においても、所得税の額は不労所得である利子所得が一番大きくなっています。
長期間の勤労に基づき支払われる退職所得は、収入金額から控除する額が大きい上、収入金額から控除額を差し引いた後の金額をさらに半分にすることができ、所得税の計算上、とても優遇されていることがわかります。
6.節税額は大きな金額になることも?
ご自身の給与の額、退職金の額をコントロールしやすい同族会社の社長などは、この所得税の計算のしくみを上手活用することで節税を行うことが可能です。
上手く活用したいという方がいらっしゃいましたら、弊社三代川(みよかわ)までご相談下さい。