こんな時はどうする?医療費控除
1.確定申告の季節となりました
令和7年に入り、令和6年分確定申告書等作成コーナーのサイトが公開されました。確定申告をする理由として「医療費控除を受けるため」というものがあります。本誌面ではいくつかのケースを取り上げ、それぞれのケースにおいて医療費控除の計算はどうなるのかについて解説します。
2.医療費控除の計算式
医療費控除の金額は次の算式により計算します。
支出医療費-保険金等-総所得金額等の5%と10万円の少ない方
支出医療費には本人のものだけでなく、同一生計の配偶者・親族のものも含まれます。医療費控除額は200万円が上限です。
3.補聴器の購入費用
医療費控除の対象となる医療費とは、医師等による診療等を受けるために直接必要な費用であることが条件です。
補聴器や松葉杖などを購入するための費用は医療費控除の対象になるケースとならないケースがあります。
補聴器相談医が、患者の聴覚に関する情報等を補聴器適合に関する診療情報提供書に記載し、補聴器の新規適合や更新等のために患者に交付しており、その提供書において購入する補聴器が医師等による診療等を受けるために直接必要である旨が記載されている場合における補聴器の購入費用は医療費控除の対象となるとされています。
一方で、加齢を原因として聴力が低下したことを受けて補聴器を購入した場合において、先述の提供書がない場合には、補聴器購入費用は医療費控除の対象とはなりません。
4.がん診断給付金
医療費控除の対象となる医療費からは保険金や損害賠償金等により補填される部分の金額を除く旨が規定されています。
出産時に交付される一時金や高額療養費、保険会社から交付される入院保険金等を受領した場合には、受領した金額分医療費の金額をマイナスする必要があります。
がん診断給付金は、がんと診断されたことを保険事故として受ける保険金であり、医療費の補填を目的として支払を受けるものには該当しないことから、がん診断給付金の金額分は医療費の金額をマイナスする必要はありません。
傷病手当金や所得補償保険による保険金等についてもがん診断給付金と同様の取扱いとなります。
5.通院に要する費用
通院や入院のために要した交通費、電車やバスでの移動が困難であるために利用したタクシーの料金は医療費控除の対象となりますが、通院のための自家用車のガソリン代は医療費控除の対象とはなりません。もし、確定申告の際に医療費控除を適用する場合には、交通費についても医療費に含めた方が医療費控除額が増え、税務上有利となります。(三代川)