書面添付制度をご存知ですか?
1.書面添付制度とは
申告書を作成した税理士が、その申告書を作成するにあたり計算・整理した事項または相談に応じた事項を記載した書面のことを書面添付や添付書面と言います。税理士法第33条の2に規定されている制度であり、法33条の2書面とも言います。
このトピックスではこの後「書面添付」という言葉を用いて説明します。
2.どのぐらいの法人が提出している?
この書面添付は法人税や消費税等の税務申告書を税務署に提出する際に添付するものとなりますが、令和4年度に提出された法人税の申告書のうち書面添付も提出されていたのは10%にとどまっています。
書面添付の作成・提出は義務ではありません。多くの税理士は、いわゆる委任状である税務代理権限証書は法人税等の申告書に添付しますが、書面添付は作成・提出していません。作成・提出していない理由は、手間がかかることと、責任の範囲が増えることを敬遠しているからではないかと思われます。万が一、書面添付に虚偽の内容が記載されていた場合、虚偽の内容を記載した税理士は懲戒処分を受ける可能性もあります。手間がかかって、さらにリスクが増えるのであれば、そもそも作成・提出をするのを止めようと考える税理士の方が多いようです。
3.書面添付の効果
坂本会計では、顧問契約を結んでいて、かつ契約2期目以降のお客さまの税務申告書を提出する際には、原則的には書面添付を作成・提出しています。なぜ、手間がかかって、かつリスクが増える書面添付を作成・提出しているのか?
税務申告書と一緒に書面添付を提出している法人等に対して税務調査を実施する場合は、実地での調査の前に、税務署において税理士が調査官に対しその法人の税務会計等について意見陳述をする意見聴取が行われます。この意見聴取を通じて、調査官が実施調査の必要がないと判断した場合、実地調査は行われずに税務調査が終了します。実地調査が行われずに税務調査が終了することとなった場合には、意見聴取結果についてのお知らせという文書が税務署長から交付されます。
実地調査が行われずに税務調査が終了するのはお客さまにとって大きなメリットであるため、弊社では書面添付の作成・提出に取り組んでいます。(三代川)