令和7年より扶養の範囲が変わります
1.3つの改正
3月31日に令和7年度税制改正法が成立しました。今回成立した税制改正法のうち、所得税
に関する3つの改正について解説いたします。
①基礎控除・給与所得控除の最低保証額の引上げ
②基礎控除の上乗せ特例の創設
③特定親族特別控除の創設
2.基礎控除・給与所得控除の最低保証額の引上げ
合計所得金額が2,350万円以下の人の基礎控除は、これまで48万円でしたが、令和7年分より58万円と10万円引き上げとなりました。合計所得金額が2,350万円を超えると基礎控除額は段階的に縮小し、合計所得金額が2,500万円を超える人は0円となります。
給与所得控除の最低保障額はこれまでは55万円(給与収入が1,625,000円以下の場合)でした。これが令和7年分より65万円に引き上げとなりました。給与所得控除の金額が65万円となるのは、給与収入が190万円以下の場合です。
この2つの改正により、課税最低限の金額は103万円(48万円+55万円)から123万円(58万円+65万円)に引き上げとなります。
3.基礎控除の上乗せ特例の創設
2で述べた通り、大部分の人の基礎控除額は58万円となりますが、合計所得が850万円以下の人に対しては、上乗せ特例が適用されます。上乗せされる金額は次の通りです。給与収入を前提に説明をしていますが、給与所得者以外にも上乗せ特例は適用されます。
①給与収入200万円以下の人 上乗せ額37万円
②給与収入200万円超475万円以下の人 上乗せ額30万円
③給与収入475万円超665万円以下の人 上乗せ額10万円
④給与収入665万円超850万円以下の人 上乗せ額5万円
この上乗せ特例は、②~④は令和7年と8年のみ限定の時限措置ですが、①は恒久措置です。2に加え、この特例が適用されることで、課税最低限の金額は160万円(123万円+37万円)となります。
4.特定親族特別控除の創設
扶養控除を適用するにはこれまでは扶養親族の給与収入が年103万円以下であることが条件でしたが、令和7年からは給与収入が年123万円以下であることが条件となります。
また、19歳以上23歳未満の親族の合計所得金額に応じて、特定親族特別控除を適用することができるようになりました。特定親族特別控除の控除額は最大で63万円ですが、19歳以上23歳未満の親族の給与収入が150万円以下の場合に控除額は63万円となります。つまり、扶養控除を適用できるかどうかをこれまでは103万円を基準に判定していましたが、令和7年からは150万円を基準に判定することとなります。(三代川)