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2025.5 個人

納税できない場合に活用 ~換価の猶予制度~

1.期限内納付が原則

税金は、納付期限までに一括で支払うことが原則です。ただ、今般の関税引き上げなどさまざまな理由により原則通りの対応ができないケースも考えられます。今回はそのような場合に活用できる国税の換価の猶予制度について説明します。

 

2.4要件

次の要件の全てに該当する時は、税務署に申請することにより、1年以内の期間に限り、換価の猶予が認められます。

①国税を一時に納付することにより、事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがあると認められること。

②納税について誠実な意思を有すると認められること。

③猶予を受けようとする国税以外の国税の滞納がないこと。

④納付すべき国税の納期限から6ヶ月以内に申請書が提出されていること。

⑤原則として担保の提供があること。

 

3.猶予が認められると

1年以内の猶予が認められると、以下の2つのメリットも享受することができます。

①猶予期間中の延滞税が軽減される

令和7年の場合、年8.7%→年0.9%

②財産の差押えや換価(資産の売却)が猶予される

 

4.猶予のために提出すべき申請書

換価の猶予を適用するには猶予申請書を作成し税務署に提出する必要があります。

猶予を受けようとする金額の多寡に応じて猶予申請書と合わせて提出する書類が変わります。

①猶予金額=100万円以下

財産収支状況書

②猶予金額=100万円超

財産目録、収支の明細書

 

5.Q&A

①申請期限を過ぎてしまうと一切猶予を受けられないのか

申請期限を過ぎてしまった場合、原則は換価の猶予を受けることはできません。

②延滞税が軽減されるのはいつから

この制度を活用して延滞税が軽減されるのは、申請日からの期間となります。納付期限を過ぎてから申請した場合、延滞税が軽減されない期間が生じてしまいますので注意が必要です。

③猶予が認められた後はどのように税金を支払うのか

原則として1年以内の期間の中で、分割して支払うこととなります。

④絶対に担保を提供する必要があるのか

猶予を受ける金額が100万円以下である場合や猶予を受ける期間が3ヶ月以内である場合、提供できる担保がない場合には担保を提供する必要はありません。(三代川)