坂本会計

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2020.11 個人

やっていませんか?根拠の薄い通勤手当・無利息貸付

1.予想外の課税?

1社からの給与以外に収入がない人は、勤務先から給与を受け取る際に、給与の金額に応じた源泉所得税を天引きされること、かつ年末調整を実施することで、所得税に関する手続きは完結します。

ところが、勤務先に対する税務調査の結果、追加で所得税の支払を求められるケースがあります。

 

2.計算根拠が希薄な通勤手当

通勤手当は、所得税が課税されない手当です。

ただし、所得税が課税されないのは、通勤に必要であると認められる1ヶ月当たりの合理的な運賃等の額(通勤のための運賃、時間、距離等の事情に照らし最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤の経路及び方法による運賃又は料金の額)に限ります。

通勤に必要である金額を超える金額は、例え通勤手当として従業員に支給していたとしても、所得税の課税対象となります。

実務で見かけることがあるのが、月額1万円などキリのいい金額を通勤手当として支給することです。このように支給している企業の多くが、従業員の通勤に必要である金額よりも多く支給している又は通勤に必要である金額をそもそも計算していません。

従業員の通勤に必要である金額が7,500円の場合、所得税が課税されないのは7,500円で、残額の2,500円は所得税の課税対象となります。

通勤手当=必ず非課税というわけではありません。通勤手当は、通勤のために要する金額を計算した上で支給額を決定する必要があります。

 

3.無利息貸付

役員・従業員に対してお金を貸している会社があります。会社側に利息の有無を確認すると、利息の約束はしていない、利息は受け取らないこととしていると回答されることが少なくありません。

役員又は従業員が、会社から金銭を無利息又は税務署が定める利率よりも低い利率で借り受けた場合、借りた者が通常支払うべき利息相当額又はその金額と実際に支払っている利息との差額に相当する金額の経済的利益については、金銭を借り受けた者が給与所得を得ているものとして、所得税が課税されます。

税務署が定める利率はその年によって変動します。令和2年は年1.6%と定められています。

もし、会社から500万円を無利息で借りて、1年間1度も返済しなかった場合、借り受けた者は500万円×1.6%=80,000円の給与所得を得たものとして、所得税を納めることになります。

ただし、借りた理由が災害・疾病等で臨時的に生活資金を要することとなったことによる場合は無利息であっても課税されません。

 

4.バレていないだけ

通勤手当として根拠の乏しい金額を支給している、無利息貸付をしているが、指摘されたことがないという方もいると思います。それはたまたま税務署に発覚していないだけであり、正しい取り扱いではありません。後になって発覚して、延滞税などを課されるのはもったいないと思います。今回の記事を参考に、取り扱いを見直してみてはいかがでしょうか。(三代川)