坂本会計

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2016.12 個人

年末調整に誤りはありませんか?

1.年末調整

年末調整を実施する季節になりました。年末調整とは、給与の支払を受ける1人1人について、12月までに支払われた給与・賞与から天引きされた所得税の額とその年の給与の総額について納めなければいけない所得税の額とを比べ、過不足を精算する手続きです。

毎年年末調整を受けている方については、おなじみの手続きではありますが、誤って解釈している内容があるかもしれません。本紙面では誤りやすい内容について解説いたします。

 

2.別居している親

扶養控除の要件は、生計を一にする親族で、合計所得38万円以下(給与収入で言うと103万円以下)であることです。

生計を一にする=同居するではありません。例えば郷里に住む親に対して、毎月生活費を送金していて、親の収入が少ない場合、同居はしていませんが、扶養控除の要件を満たすため、親を扶養控除の対象とすることができます。ただし、別居している場合に扶養控除の対象とできるのは、定期的に生活費等を送金している場合に限ります。

 

3.遺族年金を受け取っている親

遺族年金は、所得税の計算上、非課税とされています。よって、遺族年金以外に収入がない親と生計を一にしている場合、親を扶養控除の対象とすることができます。

私たちのお客さまでも、同居して生活費を負担しているにもかかわらず、遺族年金を受け取っているからと言って、親を扶養控除の対象とせずに何年も年末調整を実施していた方がいました。このように扶養控除に誤りがあった場合、直近5年分であれば、訂正をして所得税・住民税の還付を受けることができます。私たちのお客さまも直近5年分について訂正の手続きをした結果、5年分合計で80万円近くの所得税・住民税が還付されました。

 

4.16歳未満の子

お客さまと話していると収入がない子=扶養控除の対象と考えている方が少なくありません。以前はこの解釈で間違っていませんでしたが、子ども手当(現・児童手当)の導入に対応し、平成22年度税制改正により、扶養控除の対象から16歳未満の人は除外されました。

扶養控除の対象から16歳未満の人が除外された後も年末調整の際に提出する扶養控除等申告書には、16歳未満の子に関する情報を記載する欄が設けられています。この欄が設けられているのは、市県民税の非課税金額の計算に用いるためです。市県民税は均等割額と所得割額の2つから構成されていて、それぞれに扶養人数に応じた非課税金額が設けられています。この非課税金額は、扶養控除等申告書に記載された情報を基に計算しています。

 

5.まとめ

本誌面で取り上げた3つの内容は、誤っていた場合、所得税・住民税の金額に大きく影響します。間違って解釈している部分がないか、再度点検してみましょう。