新型コロナウイルスにより法人の税務はどうなる?
1.確定申告は期限延期
新型コロナウイルス(以下「新型コロナ」と表記)の感染状況を加味して、国税庁は、2月27日に個人の所得税・消費税・贈与税の申告・納付期限を延期すると発表しました。本誌面では、新型コロナの影響を受けた法人の申告書の提出、納税について解説します。
2.法人の申告手続き ~原則~
4月10日時点で、法人税や法人の消費税については、申告期限を一律で延長することはしないとされています。つまり、法人は決算日から2ヶ月以内に法人税、消費税の申告・納付をしなければなりません。
3.法人の申告手続き ~特例~
ただし、次のような理由により、決算日から2ヶ月以内に申告・納付を実施することが難しい場合には、申請することにより期限の個別延長が認められます。
①法人の役員や従業員等が新型コロナに感染した場合
②次のような方々がいることにより通常の業務体制が維持できない場合
・体調不良により外出を控えている方
・感染拡大防止のために在宅勤務等をしている方
4.申告期限の個別延長手続き
期限の個別延長を適用するためには、申請書等を提出する必要はありません。申告書を税務署等に提出する際に、「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」である旨を付記すれば良いこととされています。この旨を付記した申告書の提出期限は特には定められていません。つまり、法人の申告書等を作成・提出することが可能となった時点で申告を行えば良いとされています。
5.納税の猶予
2で記述した通り、納税の期限も延長されていません。ただし、令和2年2月1日以後における一定の期間(1ヶ月以上)において、収入が前年同時期に比べ20%以上減少している場合、無担保かつ延滞税なしで、1年間納税を猶予するものとされました。
納税の猶予の対象となるのは、令和2年2月1日から令和3年1月31日までに納期限が到来する国税及び地方税、社会保険料です。
6.納税猶予の申請手続き
5で記述した内容は、正式には今後国会にて関係法案が成立した場合に適用されることとなります。納税猶予の申請手続きに必要な書類は、4月10日時点では公表されていません。申請期限は関係法案施行日から2ヶ月後又は納付期限のいずれか遅い日となります。
7.免除ではない
申告・納付ともに、免除されたわけではなくあくまでも猶予に過ぎません。ただ、新型コロナの収束時期が不透明であることを鑑みると、いずれの特例も積極的に活用すべきものと考えます。
(三代川)