坂本会計

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2021.3 個人

経理書類の保存期間は何年?

1.よくされる質問

お客さまからよくされる質問の1つが「経理書類は何年保存しなければいけないの?」です。経理書類は分量が多く、保存にスペースを必要とするため、なるべく早く廃棄したいと考える方が多いようです。

本誌面では、経理書類の保存期間、保存しなければならない書類の種類について解説します。

 

2.保存期間は7年

法人は、帳簿を備え付けてその取引を記録するとともに、その帳簿と取引等に関して作成又は受領した書類(以下「帳簿書類」と表記)を、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間(※)保存しなければなりません。

(※)7年より前の期間に生じた税務上の繰越欠損金を有する法人は、欠損金が消滅するまでの間、帳簿書類を保存しなければなりません。

3月決算法人の場合、令和3年5月に法人税等の申告書を提出したら、平成26年3月以前の取引に係る帳簿書類は廃棄して良いということになります。

 

3.保存しなければならない帳簿書類

最低限保存しなければならない帳簿書類は、総勘定元帳と領収書、請求書、預金通帳、給与一覧等の総勘定元帳を作成するために使用した書類です。

総勘定元帳とは、全ての取引を勘定科目ごとに、取引順に並べて金額を集計する書類であり、「元帳」と呼ばれることもあります。

 

4.帳簿書類の保存方法

帳簿書類の保存方法は、紙による保存が原則と なります。

現在は、多くの企業が帳簿の作成に会計ソフトを利用していますが、会計ソフトを利用して帳簿を作成した場合であっても、会計ソフトから出力した紙の総勘定元帳を保存しなければなりません。

一定の要件のもとで帳簿書類を作成していて、かつ税務署から承認を受けている場合には、紙ではなく、電子データで保存することも認められています。

 

5.7年を待たずに廃棄したら?

保存期間が7年であることを知らずに、7年以内の経理書類を廃棄した場合に発生するトラブルの1つが消費税の税額増加です。

消費税は、売上代金の一部として受領した消費税から経費の一部として支出した消費税を差し引いた後の残額を支払うことが原則です。経費の一部として支出した消費税を差し引くことができるしくみのことを仕入税額控除と言います。

冒頭で触れた帳簿書類の保存ルールは、消費税の仕入税額控除の要件にもなっています。

もし、税務調査の際に、ルール通りに帳簿書類が保存されていないことが発覚したら、仕入税額控除は認められないので、仕入税額控除を適用した分、消費税を追加で支払うよう求められる可能性もあります。

保存ルールに沿って帳簿書類が保存されているかどうか、自社の帳簿書類の保存状況を確認してみましょう。(三代川)