坂本会計

トピックス

2016.5 相続・贈与

建物所有型法人のメリット

1.法人を活用した節税

多額の不動産所得を有する人が、法人を活用して節税を行うというしくみは、以前からよく用いられ

ています。

個人で所有している不動産を法人に管理させたり、法人にサブリースをするしくみなどです。

今回は、弊社が最近勧めている『建物所有型法人』について解説します。

 

2.建物所有型法人のしくみ

建物所有型法人とは、個人で所有している賃貸不動産のうち、建物のみを個人から法人に売却し、法人が入居者に賃貸するしくみです。

この場合、入居者からの賃料は法人に帰属します。個人から法人に売却するのは建物のみであり、土地は引き続き個人が所有しています。法人は土地の賃料を土地の所有者である個人に支払います。

法人に帰属した賃料は、役員や従業員に給与として支払います。このようにすることで、このしくみを

採用する前は、賃貸不動産の所有者に集まっていた所得が、建物を所有する法人、土地を所有する個人、法人の役員・従業員と複数の者に分散されます。

 

3.建物所有型法人のメリット

①所得税・住民税等の節税

現在の所得税の計算方式は、所得が高くなるほど税率も高くなる超過累進方式です。

2で触れたように、所得が複数の者に分散されることにより、高い税率で計算される部分が少なくな

り、税額が少なくなります。

②相続対策

生前に法人に売却しているため、賃貸している建物は、相続財産には含まれず、相続税額が減少します。

また、建物を所有していた人が、建物を法人に売却したことにより得た金銭や債権を子や孫などに

生前贈与することにより、相続税額を減少させることもできます。

建物は相続財産に含まれないため、遺産分割協議の対象外となります。”争続”対策の点でも効果があります。

 

4.どういうケースで活用すると良い?

建物所有型法人のデメリットは、個人から法人に建物を売却することに伴うコストの発生です。

コストとは、登録免許税や不動産取得税、登記費用、消費税などです。

築年数が浅い建物を個人から法人に売却しようとすると、このコストが高くなりがちです。一般的に

は、築年数が10~20年程度の建物について、このスキームを活用すると良いと言われています。

 

5.試算を行っています

上手に活用できると効果が大きい建物所有型法人ですが、失敗した場合、損失額は大きくなります。

弊社では、このしくみを活用することによる節税額やコストを試算したり、複数の賃貸不動産を有して

いる方については、どの不動産を法人に移すかなどの助言を行っています。ご興味のある方は、ぜひ弊社担当までお問合せ下さい。