令和8年10月に変更、インボイス経過措置
1.インボイス制度
一昨年(令和5年)10月よりインボイス制度がスタートしました。インボイス制度開始に際し、激変緩和の観点からさまざまな経過措置が設けられました。今回はインボイス非発行事業者からの仕入等に関する経過措置を解説します。
2.インボイス制度で変わったこと
インボイス制度がスタートする前は、仕入等をした場合(※)には、相手先が消費税の申告をしているかどうかにかかわらず、消費税の計算上、仕入等の代金に含まれる消費税の全額を控除することができました。
インボイス制度がスタートしたことにより、相手先がインボイス非発行事業者である場合、消費税の計算上、仕入等の代金に含まれる消費税を控除することができなくなりました。(※)消費税の課税取引であることが前提です
3.経過措置の内容
これまでは全額を控除することができていた取引について全額を控除することができなくなると事業者にはかなり大きな影響を及ぼします。
これを緩和するために経過措置が設けられました。
これまでのように全額の控除は認めないが、80%は控除を認めるというのが経過措置の内容です。
(例)税込550万円の外注費を支払った場合
①インボイス導入前 50万円控除可能
②インボイス導入後 全く控除できない
③経過措置 50万円×80%=40万円控除可能
4.令和8年10月からの経過措置
3で解説した経過措置は、インボイス制度のスタートと同時に導入されていますが、来年(令和8年)10月1日以降、控除することができる割合が80%から50%に低下します。さらには令和11年10月1日からは控除することが全くできなくなります。
5.検討すべき事項
経過措置の内容が変更となることに伴い、仕入等の代金を支払う側、インボイス非発行事業者側それぞれにおいて検討すべき事項があります。
①仕入等の代金を支払う側
インボイス非発行事業者との取引について、インボイス制度がスタートする際には、全額を控除できなくても80%控除できるのであれば取引は継続しようと考え、取引を継続しているケースは少なくないと思います。これが50%しか控除できなくなったらどうでしょうか。影響額次第ですが、取引先や取引条件の見直しを検討すべきと考えます。
②インボイス非発行事業者側
①で言及したように、仕入等の代金を支払う側から取引を停止されたり、不利な条件を提示される可能性があります。そのような状況に陥るのであれば、消費税の申告納税負担は生じますがインボイス発行事業者となることも検討すべきと考えます。(三代川)