坂本会計

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2022.9 税制改正

インボイス発行事業者に課される義務

1.インボイス制度スタートまで1年

来年(令和5年)10月よりインボイス制度がスタートします。来年10月からインボイスを発行するためには来年3月31日までにインボイス発行事業者の登録申請書を提出する必要があります。9月12日時点では、消費税の全課税事業者のうち70%程度の事業者がこの登録申請書を提出していないようです。

登録申請書を提出していない事業者の中には、色々と制約が生じることが嫌でインボイス発行事業者となることを迷っている事業者もいるかもしれません。今回はインボイス発行事業者に課される義務について解説します。

 

2.インボイス事業者の義務

インボイス発行事業者の義務は次の通りです。

①インボイスの交付義務

②適格返還請求書の交付義務

③修正したインボイスの交付義務

④交付したインボイスの写しを保存する義務

①は取引先に対しインボイスを発行しなければならないということです。今回は②~④について解説します。

 

3.適格返還請求書の交付義務

取引先に対し商品を納品した後、納品した商品の返品や値引きを求められるケースがあります。また、取引先との契約に基づいてリベートや奨励金を支払うケースもあります。

インボイス制度がスタートした後に、インボイス発行事業者がこのような返品・値引、リベート等として金銭を支払う場合には適格返還請求書を作成し交付しなければならなくなります。

 

4.修正したインボイスの交付義務

交付したインボイスに誤りが見つかった場合、インボイス発行事業者は修正したインボイスを改めて交付する必要があります。インボイスを受領した側で修正・追記することは原則的には認められていません。

 

5.交付したインボイスの保存義務

インボイス発行事業者は、交付したインボイスの写しを交付した日の属する事業年度の末日から2月を経過した日から7年間保存しなければなりません。

写しを保存というと、作成したインボイスを全てコピーして保存しなければならないのかという疑問を持つかもしれませんが、パソコン等を使用して作成したインボイスについては、次の3要件を満たしていれば紙に出力しての保存ではなく、データでの保存も認められます。

①事務処理マニュアル等のシステム関係書類を備え付けること

②データをディスプレイの画面及び書面に速やかに表示・出力できるようにしておくこと

③取引年月日等を検索条件として検索できる状況を確保すること

飲食店を始めとするレジからインボイスを出力する事業者についても、交付したインボイスの写しを保存しなければなりません。もし、現在使用しているレジがお客さまに対してレシート・領収書を交付する機能しかなく、控えが記録されないようであれば、レジの見直しをしなければなりません。(三代川)