坂本会計

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2021.4 税制改正

在宅勤務に係る費用を会社が負担した場合の税務 前編

1.在宅勤務に係る費用負担等の税務

業種や事業規模により浸透度は大きく異なると思いますが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、以前と比べ在宅勤務を採用する事業者が増加しています。国税庁は、今年1月と4月に在宅勤務に係る費用負担等に関する税務の取り扱いを公表しました。本誌面では公表された内容のうち多くの人に影響のありそうな項目を取り上げます。

 

2.実費精算は不課税

在宅勤務に伴い発生した費用について、その費用の実費相当額を精算する方法により、企業が従業員に対して支給する一定の金銭については、従業員に対する給与として課税する必要はありません。在宅勤務に伴い発生する費用としては、事務用品費や通信費、電気料金などが想定されます。

一方、実費金額を集計せずに在宅勤務手当として一定額を支給する場合や実費金額を集計するものの支給額と実費金額との差額を精算しない場合には従業員に対する給与として課税する必要があります。

 

3.実費の計算方法 ~通信費~

電話料金は通話料と基本使用料から構成されます。

従業員個人が契約している携帯電話の通話料については、利用明細等から業務のための通話料金のみを集計し、企業が従業員に対しその金額を支給する場合には、実費を支給したものとみなされます。

個人契約の携帯電話等を利用して業務のための通話を頻繁に行う従業員に対しては、利用明細等から業務のための通話料金を集計する代わりに次の計算式により計算した金額を支給しても実費を支給したものとみなされます。

【計算式】

従業員が負担した1ヶ月の通話料×在宅勤務日数÷その月の日数×2分の1

電話料金の基本使用料、並びにインターネット接続のためのデータ通信料についても、この計算式により計算した金額を支給した場合には、実費を支給したものとみなされます。

通話料も基本使用料も、この計算式により計算した金額より多く支給した場合には、超過支給の部分を給与として課税する必要があります。

なお、スマートフォン本体の購入代金や本体の補償料、業務と関係のないサブスクリプションの利用料を企業が負担した場合には、従業員に対す

る給与として課税する必要があります。

 

4.実費の計算方法 ~電気料金~

従業員の自宅の電気料金については、次の計算式により計算した金額を会社から従業員に支給した場合には実費を支給したものとみなされ、給与として課税されません。

【計算式】

従業員が負担した電気料金×業務のために使用した部屋の床面積÷自宅全体の床面積×在宅勤務日数÷その月の日数÷2

(三代川)