坂本会計

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2020.1

成年後見制度について

1.認知症になったら

認知症とは「生後いったん正常に発達した種々の精神機能が慢性的に減退・消失することで、日常生活・社会生活を営めない状態」を言います。(厚生労働省ホームページ)

認知症と判断された人の預金や不動産などの財産は自由に処分することができなくなってしまいます。

認知症になる前にできる対策として、「成年後見制度」と「家族信託」があります。本誌面では成年後見制度について、解説します。

 

2.任意後見制度

成年後見制度には、任意後見制度と法定後見制度の2種類があります。

任意後見制度とは、現時点では認知症でない人が、将来認知症となった場合に備えてあらかじめ任意後見人を決める制度です。

任意後見制度を利用する場合、認知症になる前に公証役場で任意後見契約を締結します。

その後、認知症と思われる状態となったら、配偶者又は4親等以内の親族が家庭裁判所に申立をします。申立を受けた家庭裁判所が任意後見人が任意後見契約通りに行動しているかをチェックする任意後見監督人を選任することで、任意後見契約の効力が発生し、任意後見監督人による監督のもと、任意後見人による支援が開始されます。

 

3.法定後見制度

法定後見制度とは、認知症と思われる人を支援するために、家庭裁判所が補助人、保佐人、成年後見人のいずれかを決める制度です。

補助人は意思能力が少し衰えている場合、保佐人は意思能力がかなり衰えている場合、成年後見人は意思能力がない場合にそれぞれ選任されます。

法定後見制度を利用する場合、任意後見制度と同様に、配偶者又は4親等以内の親族が家庭裁判所に申立をします。申立を受けた家庭裁判所が、補助人、保佐人、成年後見人のいずれかを選任することで、法定後見制度が開始となります。

 

4.どんな人が後見人等になるのか

後見人等には、未成年者や破産者など欠格事由に該当する人でなければ誰でも就任することができます。ただし、認知症となった人の親族を後見人等とすることを希望している場合でも、家庭裁判所が弁護士や司法書士などの専門家を後見人等に指定することがあります。

 

5.費用

家庭裁判所への申立を専門家に依頼せずに自身で行った場合の費用は2万円前後です。

また、弁護士や司法書士などの専門家に後見人を依頼した場合、依頼している限り毎月2~6万円の報酬支払を求められることが一般的です。

何の対策も講じないまま認知症になってしまうと、他の親族に経済的な負担が生じてしまうこともあります。早めに対策を検討、実行しましょう。(三代川)