坂本会計

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2020.3 個人

コロナウイルスの影響を受ける企業への支援策

1.雇用調整助成金と金融支援

コロナウイルスの影響により、多くの中小企業の業績が低下しています。

本誌面では、業績が低下した企業に対する支援策である雇用調整助成金と金融支援について、解説します。

 

2.雇用調整助成金とは?

雇用調整助成金とは、経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が労働者に対して、一時的に休業等を行い、労働者の雇用の維持を図った場合に、休業手当等の3分の2の金額を助成するものです。

 

3.本来の適用要件

雇用調整助成金を受け取るためには、通常は以下の要件を満たす必要があります。

①休業等を行う前に、事前に休業等の計画届を労働局又はハローワークに提出する

②休業前3ヶ月の売上又は販売量等が、前年同時期に比べ10%以上低下していること

 

4.今回の適用要件

コロナウイルスの影響により、業績が低下している企業については、3の要件ではなく、次の要件を満たせば、雇用調整助成金を申請することができます。

「休業前1ヶ月の売上又は販売量等が、前年同時期に比べ10%以上低下していること」

令和2年5月31日までに限り、休業等の計画届の提出は、事後に実施しても認められることとなりました。

 

5.新型コロナウイルス感染症特別貸付の創設

日本政策金融公庫(以下公庫と表記)は、3月12日に、新型コロナウイルス感染症特別貸付を創設すると発表しました。

この貸付制度は、コロナウイルスの影響により、直近1ヶ月の売上が前年同時期に比べ5%以上減少しているが、コロナウイルスの感染拡大が終息すれば、業況の回復が見込まれる企業に対して、以下の条件で融資を実行するものです。

・融資限度額 6,000万円

・返済期間

設備資金 20年以内(うち据置期間5年以内)

運転資金 15年以内(うち据置期間5年以内)

・利率(融資金額が3,000万円以内の場合)

当初3年間は、基準利率(1.36%~1.55%)から0.9%を差し引いた割合。3年経過後は、基準利率。

 

6.返済猶予も選択肢に

政府が実質無利子・無担保での融資を実行すると発表した後、公庫への問合せが殺到しているようです。

今回公表された5の制度は、あくまでも貸付制度であり、借りた企業はいずれ返済をしなければなりません。コロナウイルス感染が拡大する前から業況が厳しかった企業や借入金の返済額がこれ以上増えると資金繰りが厳しくなる企業は、5の制度を利用するのではなく、現在返済している借入金の返済を一定期間猶予してもらうことも検討すべきではないかと考えます。(三代川)