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2023.12 税制改正

2024年度税制改正大綱のポイント

1.2024年度税制改正大綱

令和5年12月13日、自民党・公明党は2024年度税制改正大綱を決定しました。

今回は、税制改正大綱で決定された内容のうち、以下の2つについて解説します。

①所得拡大促進税制の見直し

②1人当たり所得税3万円、住民税1万円減税

 

2.所得拡大促進税制の見直し

所得拡大促進税制とは、前年度より給与等を増加させた場合にその増加額の一部を法人税(個人事業主は所得税)から税額控除できる制度です。

税制改正大綱に関する新聞記事にはこの所得拡大促進税制の適用要件や控除割合が変更になると記載されているものが多いですが、これらが変更となるのは大企業のみで、中小企業には変更は生じません。

中小企業に変更が生じるのは、この税制の適用要件を満たしているものの、本来控除できる金額を控除しきれない場合の取り扱いの部分です。

この所得拡大促進税制を適用する前の法人税額又は所得税額の20%の金額と比べ、給与等の増加額の15%の金額の方が大きい場合、法人税額又は所得税額から控除される金額は法人税額又は所得税額の20%が上限となります。また、赤字の場合は、控除することができず、翌年度以降への繰越も認められていませんでした。

このように控除しきれなかった場合における控除しきれなかった金額について、今回の税制改正大綱により5年間の繰越が認められることとなりました。

 

3.所得税3万円、住民税1万円減免

物価高を受けた家計支援策の一環として、令和6年6月に1人当たり所得税3万円、住民税1万円が減免されることとなりました。ただし、令和6年分の所得税(※)に係る合計所得金額が1,805万円以下(給与収入が2,000万円以下)である者に限定されます。

減免対象となるのは給与支給を受ける者だけでなく、同一生計配偶者や扶養親族も含まれます。つまり以下の金額が減免されることとなります。

(所得税)本人分3万円+(同一生計配偶者+扶養親族の人数)×3万円

(住民税)本人分1万円+(同一生計配偶者+扶養親族の人数)×1万円

【所得税の減免方法】

給与所得者の場合、令和6年6月以降に支払を受ける給与から源泉徴収する所得税額を減額することで減免するようです。

事業所得者で、予定納税額がある方の場合は令和6年7月の予定納税額を減額する方法により、予定納税額がない方の場合は令和6年分の確定申告による所得税額を減額する方法により減免するようです。

【住民税の減免方法】

住民税は給与所得者は12回、事業所得者は4回に分けて支払っていますが、各自治体の方で先述の控除額を住民税額から控除し、控除後の金額を通知することで減免するようです。

(※)住民税の減免対象については、令和6年分(令和5年分収入)の住民税の合計所得を基に判定するようです。(三代川)