坂本会計

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2024.1 税制改正

交際費・経営セーフティ共済に関する税制改正

1.2024年度税制改正大綱

令和5年12月13日、自民党・公明党は2024年度税制改正大綱を決定しました。

今回は、税制改正大綱で決定された内容のうち、以下の2つについて解説します。

①交際費の飲食費の金額基準引上げ

②セーフティ共済の損金算入制度見直し

 

2.交際費の飲食費の金額基準引上げ

資本金が1億円以下の中小企業が支出した交際費は、法人税等の計算上、年間800万円までは損金の額に算入されます。

飲食等のために要する費用は通常は交際費として取り扱うこととなりますが、支出金額を飲食等に参加した者の数で割って計算した金額が5,000円以下となる場合は、交際費から除外して良いこととされています。

2024年度税制改正によりこの飲食費の金額基準が5,000円以下から10,000円以下に引き上げられることとなりました。金額基準の変更は令和6年4月1日以後に支出する飲食費より適用されます。

 

3.経営セーフティ共済の見直し

経営セーフティ共済(倒産防止共済とも言います)とは、定期的に掛金を支払っておくことで、取引先が倒産した際に無担保・無保証でそれまでに支払った掛金の10倍(最高8,000万円)まで借入をすることができる制度です。

掛金を40ヶ月以上支払っている場合、共済契約を解約すると、それまでに支払った掛金と同額の解約手当金を受領することができます。いわゆる掛捨ではなく積立型の共済制度です。

もし今法人が、新たに解約返戻率が100%の生命保険契約を締結し、生命保険料を支払った場合、支払った生命保険料は全額資産計上となり、法人税等を減額する効果は生じません。

これが経営セーフティ共済の場合、支払った掛金は全額が損金の額に算入され、法人税等の額が減少します。このような特性を持つことから、経営セーフティ共済は節税対策として広く利用されています。

経営セーフティ共済は先述の通り、掛金を40ヶ月以上支払っていれば、それまでに支払った掛金と同額の解約返戻金を受領することができますが、解約する時期はいつでも良いこととされています。このしくみを利用して、利益があまり生じなそうな事業年度においていったん解約をして、すぐに再契約をし掛金を支払い始めるケースが見られていました。

2024年度税制改正により、このような解約即再契約をした場合、解約日から2年間に支出する掛金については、損金算入が認められないこととなりました。

この変更は令和6年10月1日以降の解約から適用されることとなります。(三代川)