坂本会計

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2024.3 税制改正

4月から内容が変わる制度

1.3つの制度変更

この記事では4月から内容が変更となる以下の3つの制度について解説します。

①交際費等の範囲から除外される飲食費の金額基準

②時間外労働の上限規制

③労働条件の明示事項

 

2.交際費の飲食費の金額基準引上げ

資本金が1億円以下の中小企業が支出した交際費は、法人税等の計算上、年間800万円までは損金の額に算入されます。

飲食等のために要する費用は通常は交際費として取り扱うこととなりますが、支出金額を飲食等に参加した者の数で割って計算した金額が5,000円以下となる場合は、交際費から除外して良いこととされています。

令和6年度税制改正によりこの飲食費の金額基準が5,000円以下から10,000円以下に引き上げられることとなりました。金額基準の変更は、事業者の決算月に関係なく、令和6年4月1日以後に支出する飲食費より適用されます。

 

3.時間外労働の上限規制

労働基準法の改正により、中小企業においても令和2年4月より時間外労働の上限が法律に規定されました。規定された内容は大まかには以下の通りです。

①三六協定で定めることのできる時間外労働の上限は原則として月45時間・年360時間。

②特別の事情がある場合は、労使の合意により①の上限を超えることができますが、その場合でも時間外労働は年720時間以内、時間外労働と休日労働の合計は月100時間以内としなければならず、かつ月45時間を超えて労働させることができる回数は年6ヶ月までとされています。

この上限規制については、建設業や運送業等への適用は猶予されていましたが、今年3月をもって猶予期間が終了し、4月からはこれらの業種に対しても適用されることとなります。

 

4.労働条件の明示事項

今年4月以降に、雇用契約の締結・更新をする場合には、以下の内容を明示する必要があります。

①就業場所・業務の変更範囲

②有期労働契約の通算契約期間又は更新回数の上限

③無期転換ルールに基づく無期転換申込権が発生する契約を更新する際における無期転換 申込機会、無期転換後の労働条件

 

5.昔とは違います

ルール通りに運用がなされていない、またはルールがそもそも存在しなくても特段大きな問題が発生してこなかった事業者は少なくないかもしれません。しかしながら、以前と比べると自身の権利について正しい知識を有していて、権利を行使したいと考える方が増えてきています。働く人の意識や行動が変化しているのに、会社側が変化を拒んでいたらいつか大きな問題に発展する可能性があります。3、4の内容について、まだ対応策を検討していない事業者の方は、社会保険労務士に相談をしてみてはいかがでしょうか。(三代川)