坂本会計

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2023.11 税制改正

令和6年から相続時精算課税が変わります

1.2つの計算方法

贈与税の計算方法は2つあります。1つは『暦年課税』、もう1つは『相続時精算課税』です。

 

2.暦年課税

暦年課税を選択した場合、贈与税の額は以下の算式により計算します。

贈与税額=(その年の1月1日から12月31日までに贈与を受けた金額の合計額ー110万円)×税率

以下は令和5年中に200万円の贈与を受けた場合の例です。

(200万円-110万円)×10%=贈与税額9万円

暦年課税を選択した場合は、1年間に110万円以内であれば、贈与を受けても贈与税は生じません。

また、適用する税率はその年の1月1日から12月31日までに贈与を受けた金額の合計額から110万円を差し引いた後の金額がいくらかによって決まります。この金額が大きくなるほど、税率も高くなります。

税率は2種類あり、贈与をした人と贈与を受けた人の関係性によってどちらの税率を適用するかが決まります。1種類は直系尊属(祖父母や父母など)からその年の1月1日において20歳以上の者(子や孫など)への贈与の場合、もう1種類はこれ以外の贈与の場合です。前者の方が税率は低くなっています。

 

3.相続時精算課税

相続時精算課税を選択した場合、贈与税の額は以下の算式により計算します。

贈与税額=(その年の1月1日から12月31日までに贈与を受けた金額の合計額ー2,500万円(※))×20%

(※)前年以前に、この相続時精算課税を活用して贈与税の申告をしている場合、2,500万円から前年以前贈与を受けた金額の合計額を差し引きます。

以下は同じ人から令和4年に2,000万円、令和5年に1,500万円の贈与を受けた場合の例です。

(1,500万円ー(2,500万円ー2,000万円))×20%=贈与税額200万円

相続時精算課税を選択した場合は、同じ人から贈与を受けた金額の合計額が2,500万円以内であれば、贈与税は生じません。

また、2,500万円を超えた部分については、一律20%の税率を乗じて、贈与税額を計算します。

 

4.相続時精算課税にも110万円控除適用

この相続時精算課税制度について、来年1月以降に実施される贈与から、以下の算式により計算されることとなりました。

贈与税額=(その年の1月1日から12月31日与を受けた金額の合計額ー110万円-2,500万円(※))×20%

相続時精算課税の場合、今までは110万円の基礎控除がありませんでしたが、来年より適用されることとなりました。この基礎控除は毎年適用することができ、かつ、相続時精算課税の適用者は基礎控除額以下の贈与を受けた場合、贈与税の申告はする必要がなく、相続発生時に相続財産に加算する必要もなくなりました。暦年課税の場合は相続発生前7年以内に贈与を受けた財産を相続財産に加算する必要があります。

この改正に伴い、これまでは暦年贈与が主流でしたが、来年以降は相続時精算課税を活用する人が増えるものと思われます。(三代川)