坂本会計

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2018.2 個人

ビットコイン等に関する所得の計算方法

1.ビットコイン等の浸透

近年、ビットコインを始めとする仮想通貨への投資熱が高まっています。仮想通貨とは、円やドルのように紙幣や硬貨などの姿形があるわけではありませんが、商品やサービスを購入する際の決済手段として利用することができる通貨です。

仮想通貨を売却又は使用することにより多額の利益を得ている人もいるようですが、本誌面では仮想通貨を売却又は使用することにより生じる利益は、税金上どのように取り扱うことになるのか解説します。

2.仮想通貨の売却

100万円で2ビットコイン(以下『BTC』と表記)を購入した後、0.1BTCを10万円で売却した場合、所得金額は以下の通りとなります。

①売却金額 10万円

②取得価額 100万円÷2BTC×0.1BTC=5万円

③所得金額(①-②)=5万円

売却金額から、売却したBTCの取得金額を差し引いた残額が、売却に伴う所得となります。

3.仮想通貨での商品購入

保有する仮想通貨を用いて商品を購入した場合に円換算をすると、仮想通貨の取得価額に比べて高い商品を購入できるケースがあります。差益が生じているケースです。この差益も課税対象となります。

100万円で4BTCを購入した後、20万円の商品を購入するために、0.3BTCを支払った場合、差益は以下の通りとなります。

①商品の購入金額 20万円

②取得価額 100万円÷4BTC×0.3BTC=7.5万円

③所得金額(①-②)=12.5万円

4.同一の仮想通貨を2回以上取得した場合

同一の仮想通貨を2回以上取得した場合の取得価額の算定方法には、移動平均法と総平均法という2つの方法があります。原則的には移動平均法を用いることとされていますが、継続して適用することを要件に総平均法を用いても良いとされています。

移動平均法は購入と売却の都度、取得価額を計算し直す必要があるのに対し、総平均法は購入と売却の都度、取得価額を計算し直す必要がありません。総平均法の方が簡便で、利用しやすい方法と言えます。

5.仮想通貨の所得区分

仮想通貨の売却又は使用により生じた所得は雑所得として取り扱います。

雑所得にて損失が生じても、他の所得と損益を通算することができません。損失を次年度以降に繰り越すこともできません。また、他の所得の金額の多寡に関わらず20.315%の単一税率で計算する株式の売却益と異なり、適用される税率は他の所得の金額と雑所得の合計所得の金額によって決まります。最低で5%、最大で45%です。

仮想通貨の売却又は使用により所得が生じた場合、原則的には確定申告をしなければなりませんが、給与しか収入がない方で、仮想通貨の売却又は使用による所得が年間20万円以下の方は申告不要です。

6.しくみが変わる可能性も

本紙面の内容は、平成29年12月に国税庁が公表した『仮想通貨に関する所得の計算方法等について』という文書を参考にまとめています。仮想通貨の普及の状況によっては、今後課税のしくみが大きく変わる可能性もあります。(三代川)