坂本会計

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2021.6 個人

在宅勤務に係る費用を会社が負担した場合の税務 後編

1.在宅勤務に係る費用負担等の税務

4月に続き、今年1月と4月に国税庁が公表した在宅勤務に係る費用負担等に関する税務の取り扱いについて解説します。

 

2.物品の取り扱い

従業員が在宅勤務をする際に使用する物品の購入代金を企業が負担する場合、給与として課税しなければいけない場合と課税しなくて良い場合があります。

給与として課税しなければいけないのは、購入した物品について、その物品の所有権が従業員に移転する場合です。具体的には企業が費用負担して購入した物品について、業務で使用しなくなった後も従業員に対して返却を求めない場合は、現物給与として課税する必要があります。

物品の所有権が従業員に移転せず、企業から従業員に対して物品を賃貸しているに過ぎない場合には給与として課税する必要はありません。

 

3.レンタルオフィスの使用料

弊社が在宅勤務を導入した際にも実際に生じたのですが、従業員の自宅が狭く、在宅勤務に適していないことがあります。そのような場合に従業員の自宅近くのレンタルオフィス等を利用して在宅勤務を行うことがあります。

この場合に、従業員がレンタルオフィスの使用料の領収書を企業に提出し、企業が使用料と同額を従業員に支払った場合には、給与として課税する必要はありません。

 

4.実費精算の方法

実費精算の方法として、以下の2つの方法が考えられます。

①企業が従業員に対して、金銭を仮払いし、従業員はその金銭を用いて物品を購入等する。購入等に要した領収書を企業に提出し、仮払い

した金銭との差額を精算する。

②従業員が立て替えて物品を購入等する。購入等に要した領収書を企業に提出し、従業員が立て替えた金銭を精算する。

 

5.給与として課税されるとどうなる?

前編・後編に分けて、給与として課税する必要がないケースと課税する必要があるケースを解説しました。会社から支給された金額について給与として課税される場合、従業員は所得税、住民税、社会保険料を負担することとなります。

給与として課税されることを防ぐためには、国税庁が公表した方法に従って支給額を計算する必要がありますが、通信料や電気料金については計算に手間がかかります。手間を回避するために、給与として課税した上で、毎月一定額を在宅勤務手当として支給することも検討すべきではないかと考えます。

また、在宅勤務を新たに導入する場合には、トラブルを回避するために就業規則を見直すことが望ましいと考えられます。(三代川)