節税しながら退職金の準備 小規模企業共済
1.個人の税金計算
平成26年も残り3ヶ月を切りました。
個人事業主の方は確定申告、会社勤めの方は年末調整と、個人の所得税・住民税を計算するタイミングが近づいてきました。
本誌面では、所得税・住民税の節税に役立つ小規模企業共済について解説いたします。
2.小規模企業共済とは
小規模企業共済とは、個人事業主や小規模法人の役員の方が、廃業や退職した後に生活するための資金をあらかじめ準備しておく積立式の共済制度です。
共済の運営は国が全額出資している独立行政法人中小企業基盤整備機構が行っています。経営破たんの可能性がある一般企業が販売する保険などの商品と比べると、実現性が高い制度であると言えます。
3.加入対象者・毎月の掛金
主な加入対象者は、正社員が20人以下(商業・サービス業では5人以下)の個人事業主及び法人の役員並びにこれらの方と共同経営を行っている者です。
掛金の金額は、1,000円から70,000円の範囲内で自由に選択することができます。掛金の金額は、いったん決定した後であっても、何度でも自由に増やしたり、減らしたりすることができます。
また、支払方法も「月払い」「半年払い」「年払い」の中から好きな方法を選ぶことができます。
4.どんな時に受け取れる?
共済金は、次のような場合に受け取ることができます。
・個人事業を廃止したとき ・役員を退任したとき
・個人事業主又は役員が死亡したとき
・個人事業主又は役員が65歳以上で、掛金を180ヶ月以上支払っているとき
5.節税効果
小規模企業共済は、①掛金を支払った時と②共済金を受け取った時の2つの場面で節税効果を発揮します。
①掛金を払った時
小規模企業共済の掛金は、支払った金額の全額を所得税の計算上、小規模企業共済等掛金控除として、所得から差し引くことができます。所得から差し引くことができる控除としては生命保険料の控除が有名ですが、生命保険料の控除が最大で年間12万円であるのに対して、小規模企業共済等掛金控除は最大で84万円です。非常に効果が大きいと言えます。
②共済金を受け取った時
個人事業を廃止又は役員を退任した時に共済金を一括で受け取った場合、受け取った共済金は所得税の計算上、退職所得に区分されます。退職所得は、10種類ある所得の種類の中で最も所得税がかかりにくいと言われています。仮に事業を廃業又は役員を退任し、共済金を受け取った場合において、事業の継続期間又は役員の在任期間が20年であるときは、800万円までの金額であれば、税金はかかりません。
6.どこで加入できる?
小規模企業共済は、金融機関や商工会議所などを通じて加入することができます。また、弊社を通じても加入することは可能です。小規模企業共済に加入したい方がいらっしゃいましたら、ぜひ弊社担当者にご相談下さい。