給付金・助成金の経理処理
1.さまざまな給付金・助成金
新型コロナウイルス(以下「新型コロナ」と表記)の感染拡大に伴い、さまざまな給付金・助成金制度が活用されています。給付金・助成金は、受け取った時点で収益計上すれば良いわけではありません。代表的な給付金・助成金に関する経理処理について、解説します。
2.持続化給付金
持続化給付金とは、2020年1月以降のどこかの1ヶ月の売上が前年同時期に比べ50%以上減少している場合に、最大200万円(個人事業者の場合は100万円)を受け取ることができる給付金です。
持続化給付金は、審査の結果、申請が承認されると、給付金が振り込まれます。給付金の振込と並行して申請者の元へ給付通知書が送付されます。
申請者は、給付通知書を受領した日において、給付金の額を収益として計上する必要があります。
給付金が振り込まれた数日以内に給付通知書を受領しているケースが多いことから、実務上は給付金が振り込まれた日に収益計上を実施すれば税金での問題は生じないと考えます。
3.雇用調整助成金
雇用調整助成金とは、事業活動の縮小を余儀なくされた場合に、従業員の雇用維持を図るために、労使間の協定に基づき、雇用調整(休業)を実施する事業主に対して、休業手当などを助成するものです。
新型コロナの影響で、私たちのお客さまも数多く雇用調整助成金を申請していますが、申請してから助成金が振り込まれるまで1~2ヶ月間を要している印象です。
雇用調整助成金を申請した事業者は、助成金が振り込まれた時点ではなく、雇用調整助成金の対象となる休業手当を支給した時点で、助成金の申請額を収益として計上する必要があります。
例えば、6月決算の法人が5,6月に雇用調整を実施し、雇用調整助成金を申請したとします。雇用調整助成金が振り込まれるのは、7~8月となる可能性が高いですが、決算明けの7~8月に収益計上するのではなく、5,6月に収益として計上しなければなりません。
4.持続化補助金
持続化補助金とは、販路開拓等に取り組む費用の一部を国が補助してくれる制度です。補助金の受領を希望する事業者は、商工会議所等の支援を受けながら計画を策定・申請します。審査の結果、採択された事業者のみ補助金を受け取ることができます。
採択された事業者は、販路開拓等の費用を支出した後、実績報告書を提出します。その後、実績報告書に基づき、補助金確定通知が送付されます。事業者は、補助金確定通知を受領した後に、補助金の請求書を提出することで、補助金を受領することができます。
持続化補助金を受領する事業者は、補助金確定通知を受領した時点で、受領見込み額を収益として計上する必要があります。ただし、販路開拓等の費用を支出した年度と補助金確定通知を受領した年度が異なる場合、費用を支出した年度に受領見込み額を収益計上する必要があります。(三代川)