見舞金・永年勤続表彰に係る税務
1.見舞金
法人の役員や従業員が入院等をした場合に、法人から入院した役員・従業員に対して、見舞金を支給することがあります。
見舞金を支給した法人は、支給額を福利厚生費として経費に算入し、見舞金を受け取った役員・従業員は、受取額を所得税・住民税の対象に含めないというのが一般的な税務処理です。
2.見舞金の上限額
見舞金を福利厚生費として取り扱う、所得税・住民税の対象に含めないことができるのは、見舞金の金額が社会通念上相当であると認められる金額部分に限定されています。
いくらが社会通念上相当なのかというのは、法令では明確にされていませんが、平成14年6月3日に裁決された判例にて、5万円を上限とするという判断がなされました。
3.実務でよく見られる事象
法人で医療保険を契約し、役員・従業員の入院に伴い、法人に入金された保険金額と同額を役員・従業員に支給するケースが実務上、見受けられます。2で取り上げた判例から判断すると、保険金額が5万円超の場合に、保険金額全額を役員・従業員に支給してしまうと、5万円を超える部分は、役員・従業員に対して給与を支給したものと取り扱うことになります。従業員に対する支給額は、給与として経費に含めることができますが、役員に対する支給額は、損金算入要件を満たさないため、税務上は経費に含めることができません。また、役員・従業員が受け取った金額のうち、5万円を超える 部分は、所得税・住民税の課税対象となります。
4.永年勤続表彰
長年に渡り勤務した従業員を表彰する永年勤続表彰制度を導入している会社があります。永年勤続表彰制度に基づいて支給した金額は、見舞金と同様、支給した法人は支給額を福利厚生費として経費に算入し、受け取った従業員は受取額を所得税・住民税の対象に含めないというのが一般的な税務処理です。
5.永年勤続表彰の上限額
永年勤続表彰制度に基づいて支給したもの全てについて、このような取り扱いをして良いわけではありません。
永年勤続表彰制度に基づいて支給したものを福利厚生費として経費に算入し、所得税・住民税の対象に含めないことができるのは、以下の3つの要件を満たす場合に限定され、満たさない場合は3の見舞金のケースと同様の取り扱いとなります。
①勤続年数や地位などに照らして、社会通念上相当な金額以内であること。
②勤続年数がおおむね10年以上である人を対象としていること。
③同じ人を2回以上表彰する場合には、前に表彰した時からおおむね5年以上の間隔が空いていること。(三代川)