坂本会計

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2018.7 個人

交際費はいくらまで経費となる?

1.関係を良好にするための費用

取引先を始めとする事業関係者との関係を良好にするために、交際費を使うことがあります。

今回は、この交際費の定義や税金上の取り扱いについて解説いたします。

 

2.税務上における交際費の定義

税務上、交際費とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、事業者がその得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出する費用と定義されています。

なお、以下のものは、税務上、交際費等から除外されます。

①専ら従業員の慰安のために行われる運動会、旅行等のために通常要する費用や慶弔見舞金

②取引先等に交付するためのカレンダー等の作成費

③飲食等のために要する費用で、その支出額を飲食等への参加者数で割って計算した金額が5,000円以下であるもの(交際費から除外するためには書類の保存等の要件を満たす必要があります)

④会議時の飲み物、食事代

①は福利厚生費、②は広告宣伝費、③と④は会議費として取り扱います。福利厚生費や広告宣伝費、会議費には、後述する経費に含めることができる限度額というものはなく、全額が経費となります。

 

3.個人事業主の交際費

個人事業主が交際費を使用した場合には、経費に含めることができる限度額というものは存在せず、所得税の計算上、交際費の全額を経費に含めることができます。

 

4.法人の交際費

法人が支出した交際費は、法人税の計算上は、全額を経費から除外することとされています。ただし、期末時点の資本金が1億円以下の法人については、以下のいずれかの金額までは経費に含めることができ、この金額を超える部分について経費から除外するとされています。

①800万円(その事業年度の月数が12ヶ月に満たない場合は、800万円×その事業年度の月数÷12)

②事業に関係のある者等との飲食費の50%に相当する金額

①と②のどちらを基準とするかは、選択することができます。

 

5.経費に含められる金額は変わる?

交際費は事業を拡大するために必要な支出であり、その支出を経費から除外するのはおかしいようにも思えますが、無制限に経費に含めることができると、税負担を回避するために交際費が濫用される可能性があることから、経費に含めることができる限度額を設けています。

4で、年間800万円までは経費に含めることができると触れましたが、以前は年間600万円の90%でした。600万円の部分が400万円や300万円の時期もありました。交際費を積極的に使ってもらい、景気回復につなげたいという政府の意向で、現在は以前よりも経費に含めやすくなっています。

このように、法人税の計算上、交際費の取り扱いは、その時の政府の考え方によって、変化していきます。今はいくらまで経費に含めることができるのかという情報を定期的に収集しましょう。(三代川)