坂本会計

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2017.12 個人

103万円の壁が変わる?配偶者控除の見直し

1.妻を扶養に入れるには

「妻を扶養に入れるには妻の年収がいくらまでだったら良いのか」という質問をお客さまから受けることがあります。この質問への回答は、お客さまの意図する扶養というのが税金上のものなのか、社会保険上のものなのかによって内容が変わります。本誌面では、税金上及び社会保険上、配偶者を扶養として取り扱うための要件について、解説します。

 

2.税金上の扶養の要件 ~103万~

所得税の計算上、扶養控除は配偶者以外の親族を対象としています。配偶者については扶養控除と別に配偶者控除という控除が設けられています。扶養控除と配偶者控除は控除額は同じ38万円です。

配偶者控除を受けるためには、配偶者のその年の合計所得金額が38万円以下である必要があります。合計所得金額が38万円以下というのは、給与収入しかない方については、年間の給与収入が103万円以下の場合に該当します。これがいわゆる『103万円の壁』です。

 

3.社会保険上の扶養の要件 ~130万~

社会保険上、配偶者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上等の場合は180万円未満)であって、かつ、被保険者の年間収入の2分の1未満である場合は配偶者を扶養として取り扱うことができます。

社会保険上、配偶者を扶養として取り扱うことができるというのは、配偶者が自身で保険料を負担しなくても、健康保険の利用等ができるということです。これがいわゆる『130万円の壁』です。

 

4.社会保険上の扶養の要件 ~106万~

平成28年10月より、従業員501人以上の企業に勤務していて、年間収入が106万円以上の方については、配偶者の扶養から外れて自身で保険料を負担し、社会保険に加入しなければならなくなりました。これがいわゆる『106万の壁』です。

※社会保険上の扶養の要件については、イメージをお伝えすることを優先としており、実際に適用となるかどうかを判定する際には、他の要件もありますので、ご注意下さい。

 

5.配偶者の控除が変わります

平成30年より、2で解説した配偶者の控除の適用要件が大幅に見直しされることになりました。見直しとなった点は以下の2点です。

①合計所得金額が1,000万円超(給与収入が1,120万円以下)の方の配偶者については、配偶者控除の対象から除外されます。これまでは、合計所得金額が1,000万円超の方の配偶者であっても配偶者控除の適用対象とされていました。

②配偶者のその年の合計所得金額が85万円以下であれば、38万円の配偶者の控除を適用することができるようになりました。合計所得金額が85万円以下というのは、給与収入しかない方については、年間の給与収入が150万円以下の場合に該当します。

配偶者の控除の見直しについては、本人の収入の額、配偶者の収入の額によって、さまざまなパターンがあり、非常に難解です。本誌面では大雑把なイメージのみをお伝えしています。詳しい内容についてご興味のある方は弊社担当者にご相談下さい。