坂本会計

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2016.2 個人

マイホーム売却損の特例

1.原則的な取り扱い

土地・建物を売却した場合、給与や不動産などの

所得とは分けて所得を計算し、計算した所得に所有

期間に応じた税率を乗じて、所得税・住民税を計算

します。

売却金額が土地・建物の取得費・譲渡に係る費用

を下回る、いわゆる売却損が発生した場合、売却に

伴う所得税・住民税の納税は発生しません。

また、売却損の金額は給与や不動産などの所得と

は相殺されず、損失の額は切捨てとなります。

 

2.マイホーム売却損の特例

ところが、一定の要件を満たす場合に限り、マイ

ホームの売却損の金額を給与や不動産などの所得と

相殺することができる特例が存在します。その特例

は以下の2つです。

①特定居住用財産の特例

②居住用財産の買い替え等の特例

 

3.特例の要件

マイホーム売却損の特例を適用するためには決め

られた要件を満たす必要があります。

2つの制度に共通する要件は以下の5つです。

①売却したマイホームを所有していた期間が、売却し

た年の1月1日時点で5年を超えていること。

②売却先が、配偶者などの特殊関係者でないこと。

③売却した年の前年、前々年にマイホーム売却に係る

各種特例の制度を適用していないこと。

④マイホームを売却したことにより、売却損が生じて

いること。

⑤期限内に確定申告を行うこと。

 

4.特定居住用財産の特例

3の要件を全て満たしていて、かつ、売買契約の前日

時点において、売却した不動産を購入するために契約

した住宅ローン(※)が残っている場合、売却損の金

額を給与や不動産などの所得と相殺することができ

ます。さらに、相殺しきれずに売却損が残った場合、

残った金額を3年間繰り越すことができます。

相殺の対象となる売却損の金額は、以下の金額が

限度額となります。

売買契約の前日時点の住宅ローン残高-売却金額

つまり、売却により得た金額によって住宅ローンを

完済できる場合は、特例の対象外となります。

(※)返済期間が10年以上残っている場合に限る

 

5.居住用財産の買い替え等の特例

売却損を給与や不動産などの所得と相殺することが

でき、相殺しきれなかった金額を3年間繰り越すこと

ができるという特例の内容は4の特定居住用財産と

同じです。

異なるのは適用を受けるための要件です。3の要件を

全て満たした上で、床面積50㎡以上の新しいマイホ

ームを住宅ローンを契約して購入することが要件となり

ます。4と異なり、売買契約の前日において住宅ローン

を全て返済していても適用の対象となります。

 

6.特例の活用漏れを防ぐために

不動産の売却損は、他の所得と相殺できないと考えて

いる方が多いと思いますが、この紙面で解説したような

特例が存在します。売却損の活用漏れを防ぐために、

マイホームを売却した方は、ぜひ弊社担当者まで

ご相談下さい。