坂本会計

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2022.7 税制改正

インボイス導入後における消費税免税事業者との取引のポイント

1.インボイス制度

令和5年10月よりインボイス制度がスタートします。インボイス制度スタート後は、消費税免税事業者(以下免税事業者と表記)に支払った代金については消費税の計算上、仕入税額控除を適用することができません。つまり同じ金額を消費税課税事業者(以下課税事業者と表記)に支払った場合と免税事業者に支払った場合とでは、免税事業者に支払った場合の方が消費税負担が大きくなるということになります。

消費税負担の増加を避けるために免税事業者に対しさまざまな要請をすることが考えられますが、行き過ぎた要請をすると、独占禁止法にて禁止されている優越的地位の濫用に該当し、処罰される可能性があります。

本誌面では、優越的地位の濫用に該当しないようにするために留意すべき点等について解説します。

 

2.課税事業者になるよう要請する

現在免税事業者となっている取引先が課税事業者となれば、その取引先に支払った金額について仕入税額控除を適用することができます。そのため、その取引先に対し課税事業者となることを要請することが想定されますが、この要請を行うこと自体は優越的地位の濫用には該当しません。

 

3.値下げを求めて良いか

仕入税額控除を適用できないことで消費税負担が増加した場合に、免税事業者に対し値下げを要請しようと考える事業者が現れることが予想されます。

インボイス制度の実施に伴って増加する消費税を応能に負担するために値下げを免税事業者に求める行為は優越的地位の濫用には該当しません。

ただし、消費税負担の増加額を超える値下げを求めた場合は、優越的地位の濫用に該当する可能性があります。

 

4.取引を停止して良いか

免税事業者に対し、課税事業者となることを要請し、又は値下げを要請しても免税事業者が応じない場合、そのまま取引を継続すると仕入税額控除を適用できず、消費税負担が増加することになってしまいます。

このような場合に免税事業者との取引を停止した場合は、優越的地位の濫用には該当しないと考えられます。

ただし、3で触れたように消費税負担の増加額を超える値下げのように、インボイス制度スタートに便乗した過度な取引条件見直しを求める行為については優越的地位の濫用に該当する可能性があります。

 

5.今から準備しましょう

2,3で触れた課税事業者への転換、値下げを要請された免税事業者が要請を受け入れた場合、免税事業者側でも消費税申告や原価・固定費等の見直し等の対応をすることとなります。これらの対応を適切にするためには準備期間が必要であると考えられます。免税事業者と思われる事業者が取引先となっている場合、その事業者との協議を今のうちから実施しましょう。(三代川)

 

※参考文献 週刊税務通信令和4年6月13日号