坂本会計

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2021.11 税制改正

ふるさと納税の手続きが簡素化されます

1.ふるさと納税=節税対策の1つ

ふるさと納税は2008年に創設され、現在では多くの方が活用している制度です。本誌面ではふるさと納税のしくみを改めて解説し、その上で今年(令和3年)より制度改正された内容について解説します。

 

2.ふるさと納税のメリット、しくみ

ふるさと納税を行うことによるメリットは、以下の2つです。

①所得税、住民税の税額が減少する。

②寄附をした地方自治体からその地域の特産品などのお礼の品をもらえるケースがある。

ふるさと納税を利用している方の多くは、以下の流れにより手続きを実施しています。

①インターネットにて、ふるさと納税に関するポータルサイトを開く。

②ポータルサイトにて、寄附をしたい地方自治体又は受け取りたいお礼の品を検索し、寄附の手続きを行う。

③後日、クレジットカード決済などの方法により決済され、寄附が実施される。

 

3.ふるさと納税による税額減少のしくみ

ふるさと納税を行うと、2,000円は自己負担になりますが、寄附をした金額のうち、2,000円を超える部分については、所得税・住民税から控除されます。

仮に20%の所得税率が適用される人が3万円を寄附したとします。わかりやすくするため、復興特別所得税は考慮しません。

寄附した3万円から2,000円を引いた28,000円に20%を乗じて計算された5,600円が所得税から控除されます。

その上で、3万円から2,000円と5,600円を差し引いた22,400円が住民税から控除されます。

その結果、所得税5,600円+住民税22,400円=28,000円分の税額が減少することになり、本人が負担することになるのは税額軽減を受けることができない2,000円のみとなります。

 

4.ワンストップ特例

ふるさと納税による税額減少効果を得るためには原則的には確定申告をする必要がありますが、ワンストップ特例制度を利用した場合は確定申告をしなくても税額減少効果を得ることができます。

ワンストップ特例とは一定の要件を満たす方がふるさと納税をする場合において、特例申請書の提出があったときは、確定申告をしなくても税額軽減をしようというものです。確定申告を行う場合との違いは、確定申告は所得税と住民税の両方から税額を控除するのに対し、ワンストップ特例制度の場合は、住民税のみから税額を控除します。控除される額に違いは生じません。

 

5.自治体ごとの受領書が不要に

確定申告をする際には、これまでは寄附をした地方自治体から送付された寄附金の受領書全てを確定申告書に添付する必要がありました。令和3年分の確定申告からはふるさと納税に関するポータルサイトから送付される年間寄附額を記載した「寄附金控除に関する証明書」を添付すれば、寄附金の受領書全てを確定申告書に添付しなくても良くなりました。

令和3年12月31日までにふるさと納税を実施すれば令和3年分の課税所得を減少させることができます。ご興味のある方は実施してはいかがでしょうか。(三代川)