坂本会計

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2023.2 税制改正

電子取引データはどう保存すれば良いの?

1.結局どうなったのか?

電子帳簿保存法の改正により、令和4年1月以降は電子取引データを紙に出力して保存できなくなる予定でしたが、直前に宥恕規程が設けられ、令和5年12月までは紙での保存も認められました。本誌面では電子取引データの保存ルールは結局どうなったのかという点について解説します。

 

2.電子取引とは

電子取引とは、取引情報の授受を電子データにより行う取引です。

電子データの例は以下の通りです。

①電子メールにより送信・受領した請求書や領収書等のデータ

②インターネットのホームページからダウンロードした請求書や領収書等のデータ

③電子請求書や電子領収書の授受に係るクラウドサービスを利用したデータ

④クレジットカードの利用明細データ、交通系ICカードによる支払データ、スマートフォンアプリによる決済データ等を活用したクラウドサービスを利用したデータ

 

3.電子取引の原則的な保存ルール

電子取引データは、以下の2要件を満たす形で保存する必要があります。

①真実性の要件

②可視性の要件

①真実性の要件を満たす具体的な方法として4つの方法がありますが、その中で取り組みやすい方法は、以下のA、Bです。

A 正当な理由がない訂正削除の防止に関する事務処理規程を定め、その規程に沿った運用を行う

B 訂正・削除を行った場合に、これらの事実及び内容を確認できるシステム等を通じて取引情報の授受及び保存を行う

②可視性の要件には3つの条件がありますが、3つのうち2つは満たしている会社が多く、データの検索機能を確保すること(日付、取引先、金額)がポイントとなります。

 

4.令和5年度税制改正による変更点

令和4年12月に発表された税制改正大綱により、令和6年1月以降は紙での保存は認められないこととなりました。ただし、次の①又は②いずれかの要件に該当する場合は、先述した真実性と可視性を満たしていなくてもルールに則ってデータを保存していると認められます。

①次のイ又はロを満たすこと

イ 判定期間(通常2期前)における売上高が5,000万円以下である者で税務調査の際等に電磁的記録のダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合

ロ その電磁的記録の出力書面(一定の状態で整理されたものに限る)の提示等の求めに応じることができるようにしている場合

②保存要件に従って保存できなかったことについて、相当の理由があると所轄税務署長が認め、かつ税務調査の際等に提示等の求めに応じることができるようにしている場合(三代川)