人件費が増えると受けられる法人税の特例
1.新たな税制
毎年、税制改正により、新たな税制が導入されます。平成26年3月期の決算から導入された税制に、『雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除』、いわゆる『所得拡大税制』があります。
2.所得拡大税制とは?
所得拡大税制とは、法人が従業員に対して1年間に支給した給与の額が、前の年や基準となる年に支給した額よりも多かった場合などに、一定の金額を法人税額から減額することができるという制度です。
この制度は、平成25年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する事業年度において適用することができます。3月決算法人の場合、平成26年3月期から平成30年3月期までの5期において適用することができます。
3.どのぐらい法人税が安くなる?
所得拡大税制を適用した場合に安くなる法人税額は以下の①と②のうち、いずれ小さい金額です。
①(今期の従業員給与の額-基準年度の従業員給与の額)×10%
②今期の法人税額×20%
基準年度とは、平成25年3月31日以前に開始した事業年度のうち、最も新しい事業年度のことを言います。3月決算法人の場合、平成25年3月期が基準年度です。
仮に①の金額が400万円で、今期の法人税額が500万円の場合、法人税額を40万円(=400万円×10%)減少させることができます。
4.所得拡大税制を使うためには?
所得拡大税制を使うためには、満たさなければならない要件が3つあります。この3つの要件を全て満たさなければ、所得拡大税制は適用することができません。
①今期の従業員給与の額が、前期の従業員給与の額より多いこと。
②(今期の従業員給与の額-基準年度(3を参照)の従業員給与の額)÷基準年度の従業員給与の額が2%(※)以上であること。
③今期の【従業員給与の額÷従業員数】が、基準年度の【従業員給与の額÷従業員数】以上であること。
5.従業員給与の範囲
これまでの解説の中で、従業員給与という言葉が頻繁に登場していますが、従業員給与の範囲も明確に定められています。
対象となる従業員とは、役員、使用人兼務役員及び役員でない者のうち、役員の親族以外の者を言います。また正社員だけでなく、パート・アルバイトも含みます。
給与とは、所得税の計算上、給与所得に含まれるものを言います。残業代や賞与も含みます。
6.慎重にご判断下さい
ここまで所得拡大税制を適用するために必要な要件について触れましたが、イメージを持っていただくためにあえて大雑把な表現をしている箇所もあります。実際にこの所得拡大税制を適用する際には、適用要件を満たしているかどうか、かなり慎重に判断する必要がございます。
ご不明の点等がございましたら、弊社三代川までお気軽にお問合せ下さい。