案件紹介料、情報提供料に関する税務
1.経理処理
案件を紹介してもらった、情報を提供してもらった対価として案件紹介料、情報提供料を支払うことがあります。会社がこのような費用を支払った場合、支払手数料という勘定科目を用いて経理処理をするケースが少なくありません。
この案件紹介料、情報提供料について、税務調査の場で支払手数料ではなく交際費である、そもそも経費としては認められないとの指摘を受けるケースがあります。今回は案件紹介料、情報提供料に関する税務について解説します。
2.通達の内容
法人税の法令解釈通達61の4(1)-8において、情報提供料等と交際費等との区分について、税務上の取り扱いが示されています。通達の内容を平易な表現でまとめると、情報提供を業としていない者に対して金銭等を支払った場合であっても、次の要件の全てを満たしている時は、交際費等として取り扱わず、支払った金額全額を経費として取り扱うという内容です。
①あらかじめ締結された契約に基づいて払っていること。
②提供を受ける内容が契約において具体的に明らかにされていて、実際に提供を受けていること。
③支払った金額が提供を受けた内容に比して相当なものであること。
3.もし交際費に訂正となったら
もし、支払手数料として経理していた支払について交際費に訂正となった場合であっても、交際費の年間金額が800万円以下であれば、税務上の不利益が生じることはありません。交際費の年間金額が800万円を超えた場合、800万円を超える部分の交際費は損金の額に算入することができません。
4.実際にあった事例
建設業のお客さまが建設現場で発生した残土を処分できる場所を探しており、処分できる場所に関する情報提供をしてくれた者に対してコンサルティング料という名目で情報提供料を支払っていました。このお客さまに対する税務調査の際に、税務職員より「情報提供を受けたことを証明できる物的証拠を提示するか、情報提供料を受け取った者に対する反面調査を実施するか、いずれかの対応をしてほしい。いずれも対応できないのであれば情報提供料を損金の額に算入することは認めない。」と伝えられました。
物的証拠はなく、反面調査を容認することで今後情報提供を受けられなくなることを敬遠し、このお客さまは実際に支払った情報提供料について損金の額から除外するという選択をしました。
5.損金の額に算入するために
案件紹介料や情報提供料を損金の額に算入するためには、税務調査の際に提示を求められた際に以下の3つを提示できる状態としておくことが大事であると考えます。
①紹介された案件、提供を受けた情報の具体的内容
②金額が適正であること
③物的証拠、成果物
税務職員は、口頭での説明だけでは納得しません。上記3つの内容について書面に残しておくことが望ましいと考えます。(三代川)