坂本会計

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2015.4 法人

法人と役員との間の債権債務について

1.中小企業に多い

中小企業の場合、会社と社長との間で資金の貸し借りをしていることがよくあります。今回は、社長から会社に対する債権債務に関する税務上の取り扱いなどについて解説します。

 

2.なぜ発生する?

中小企業の多くは、株主は社長のみ又は社長とその親族のみという同族会社です。

このような同族会社の場合、会社の資金が足りなくなると、社長やその親族からお金を借りて会社の運転資金などに充てることが多く、社長個人から会社に対する金銭債権が生じます。

一方、あまり好ましいことではないですが、2とは反対に社長個人の資金に余裕がなくなった場合に、

会社から社長への貸付けという形式で、会社の資金を社長に融通することがあります。この場合、社長個人に対して会社からの金銭債務が生じます。

 

3.金融機関の見方

金融機関は、貸付先が誰であれ、貸付金という科目に対してポジティブな評価はしません。金融機関から円滑に資金調達をしたい場合は、会社からの役員への貸付けはなるべく避けるべきです。

反対に、役員から会社への貸付けについては、中小企業の場合は出資と同様にみなされることが多く、ネガティブな評価を受けるケースは多くありません。

 

4.相続が発生すると

会社と社長間での金銭の貸し借りが一時的なもので、すぐに精算されれば良いのですが、中小企業の場合、すぐに精算されず、債権債務の額がどんどん膨れ上がっていくケースが少なくありません。

このような状況で社長が亡くなり相続を迎えると、会社に対する貸付金は相続財産となり、相続税の課税対象となります。

一方、会社からの借入金も会社に支払うべき債務として相続人に支払義務が引き継がれます。

 

5.税務上の問題点

会社から個人に対して貸付金がある場合、税務上は無利息での貸付けは認められず、利息の授受を行わなければなりません。税務調査において無利息貸付けが発覚した場合、会社には収受すべき利息相当額の収益があったものとみなされ、追加で法人税等を支払わなければならないことがあります。一方、貸付けを受けていた個人に対しては、収受すべき利息相当額の給与を得ていたとして、所得税が課される可能性があります。

また、4で申し上げたように相続発生時には債権債務ともに相続人に引き継がれます。被相続人が会社に対して有していた債権が多額の場合、相続人が負担する相続税の税額が大きくなる恐れがあります。

 

6.留意すべき事項

5で述べたようなトラブルを回避するためには、日頃から会社と個人との間の債権債務の残高や会社の決算書の状況に目を配る必要があります。

会社と個人との間に、既に多額の金銭債権債務があって何とかしたいという方がいらっしゃいましたら、弊社三代川(みよかわ)にお気軽にご相談下さい。