坂本会計

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2019.8 法人

働き方改革関連法の要点

1.経営に大きく影響

平成30年6月に、通称働き方改革関連法が成立しました。本誌面では、この働き方改革関連法の成立により、従業員を雇用する会社は今後どのようなことが求められるかをまとめました。

 

2.特に影響が大きい項目

働き方改革関連法の中で、本誌面で取り上げるのは、以下の2点です。

①時間外労働の上限規制

②有給休暇の取得義務

 

3.時間外労働の上限規制

時間外労働の上限について、これまでも月45時間以内かつ年360時間以内という基準はありました。ただ、この基準に法的拘束力はなく、36協定の締結・届出さえしていれば、この上限を超える時間外労働が発生していても、罰則は生じませんでした。

今後は、月45時間以内かつ年360時間以内という上限を超過した場合、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金という処罰が与えられることとなりました。

通常予見することのできない業務量の大幅な増加があった場合には、上限を年720時間以内等とすることができる特別条項も設けられていますが、時間外労働が常態化している企業は、対策を講じないと処罰の対象となる可能性があります。

この改正は、大企業は平成31年4月1日から、中小企業は令和2年4月1日から適用となります。

 

4.有給休暇の取得義務

会社には、入社から6ヶ月経過し、その6ヶ月の全労働日の8割以上勤務した従業員に対して、10日以上の有給休暇(以下「有休」と表記)を付与する義務があります。

これまでは、有休の付与さえ適切に実施していれば、会社が処罰を受けることはありませんでした。

今後は、1人の従業員につき、有休付与の基準日から起算して1年間のうちに、5日以上の有休を取得させないと、5日以上の有休を取得しなかった従業員1人につき30万円以下の罰金の支払を求められることになりました。

この改正は、大企業、中小企業のいずれも平成31年4月1日から適用、つまり既に適用されています。

 

5.ブラック企業として公表?

時間外労働も有休も、うちの会社は問題ないと考えている方がいらっしゃるかもしれません。ただ、そのような会社であっても、特定の従業員はあまり時間外労働をせず、有休もしっかり取得しているだけで、このままでは処罰の対象となってしまう可能性があります。

また、働き方改革関連法に違反した場合の最も重いペナルティは、違反したことを厚生労働省のホームページで公表されてしまうことです。

このような状況とならないよう、社会保険労務士などの専門家と対応を協議することが望ましいと考えます。(三代川)