坂本会計

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2023.6 法人

役員借入金、役員貸付金にはリスクがあります

1.役員借入金について

役員が様々な理由により、会社にお金を貸し付けることがあります。このお金は役員借入金として会社の負債に計上されます。役員借入金は、金融機関からの借入とは違い、返済期限が明確に決まっているものではなく、かつ利息の支払いをしなくて良い資金調達方法であるため、何もリスクが無いように見えますが、そういうわけではありません。役員借入金のリスクについて解説します。

 

2.役員借入金のリスク

①債務超過になる可能性がある

役員借入金は会社にとって負債になるので、増えれば増えるほど資産よりも負債が多くなってしまい、いわゆる債務超過になってしまうことがあります。

②相続財産になる

役員借入金は会社にお金を貸した役員の財産となるため、役員が亡くなった場合、役員借入金は相続財産とみなされ、相続税が課されます。相続人が想定していない多額の相続税を支払うことになってしまう恐れがあります。

 

3.役員貸付金について

反対に会社のお金を役員に貸した場合、貸したお金は役員貸付金として、資産計上されます。役員貸付金が存在することがダメなわけではありませんが、さまざまなリスクがあります。役員貸付金のリスクについて解説します。

 

4.役員貸付金のリスク

①利息を計上しなければならない

役員借入金とは違い、役員貸付金は利息を計上す必要があります。会社は利息を受け取ることになるので、法人税の負担が増え、一方役員は、会社に返済しなければならない金額に加え、支払う利息も負担することになります。

 

②金融機関の評価が下がる

会社の資金を役員が私的に使っている公私の区別がついてない会社と判断され、評価が下がります。銀行からの融資は受けにくくなります。

 

5.役員借入金・役員貸付金の消去方法

役員借入金、貸付金のリスクについて解説しましたが、その解消方法をいくつか紹介します。

 

「役員借入金」の解消方法

①役員が会社に対し債権を放棄する

②役員給与を減額し、減額分を借入金返済に充当

→例えば、額面50万円、手取り額40万円だったのを、額面30万円、手取り額20万円+借入金返済20万円にすると、手取り額+借入金返済額が40万円になり、役員に入る金額は変わらずに返済できます。

③借入金を親族へ贈与(借入金そのものは減りませんが、相続税対策にはなります)

 

「役員貸付金」の解消方法

①役員給与増額、増額分で徐々に精算

→例えば、額面30万円、手取り額20万円だったのを、額面50万円、手取り額20万円にすることで、役員が受け取る金額は変わらずに、増額した20万円を貸付金の返済に充てることができます。

②役員退職金と相殺

役員借入金、貸付金ともにリスクがあります。徐々に減らしていくことを検討しましょう。(忠内)