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2013.8 法人

法人税の計算上、赤字は何年繰り越せる?

1.法人税の計算のしくみ

法人税の額は、単年度の売上から単年度の経費を差し引いて計算した利益に、税率を乗じて計算します。ただし、前事業年度以前に赤字の事業年度がある場合、法人税の計算にあたって、その事業年度の利益から前事業年度以前に生じた赤字の金額を差し引くことができます。この前事業年度以前の赤字の金額を差し引くことができる制度のことを『青色欠損金の繰越控除』と言います。

2.具体例

【前提条件】
平成22年8月期以前:常に黒字
平成23年8月期:400万円の赤字
平成24年8月期:100万円の黒字
平成25年8月期(当期):1,000万円の黒字

【解説】
平成23年8月期に生じた400万円の赤字のうち100万円については、翌期の平成24年8月期の利益と相殺することになります。そのため、平成25年8月期以降に繰り越される赤字は300万円となります。
平成25年8月期の法人税の額は、単年度の利益1,000万円から繰り越された赤字300万円を差し引いた金額に税率(※)を乗じて計算します。
【当期の法人税額】
①1,000万円-300万円=700万円
②700万円×15%(※)=105万円

(※)期末資本金の額が1億円以下の法人を仮定しており、復興特別法人税や地方税は加味していません。

3.適用要件

青色欠損金の繰越控除を適用するためには、赤字が生じた事業年度に青色申告書を提出していて、かつ、その後の事業年度について毎期欠かさずに税務申告書を提出していることが必要です。すなわち、赤字が生じた事業年度に青色申告書を提出していれば、その後の事業年度については白色申告であっても、申告書さえ提出していれば、この規定を適用することができます。

4.赤字を繰り越すことができる期間

法人税の計算上、赤字は永久に繰り越すことができるわけではありません。繰り越すことができる期間は、赤字が生じた時期によって異なります。繰り越すことができる期間の区分は以下の通りです。

①平成13年3月31日以前に開始した事業年度に生じた赤字

5年間

②平成13年4月1日以後に開始した事業年度から平成20年3月31日以前に終了した事業年度に生じた赤字

7年間

③平成20年4月1日以後に終了した事業年度に生じた赤字
9年間

5.まとめ

この青色欠損金の繰越控除の規定を上手く活用できるか否かによって、企業が支払う税金の額は大幅に変わります。毎期、決算前に青色欠損金の有無や残高を確認することが重要です。
また、期末資本金の額が1億円を超える法人については、この紙面で触れた内容とは異なる取り扱いをします。ご興味のある方は、弊社三代川(みよかわ)までお問い合わせ下さい。