坂本会計

トピックス

2014.3 法人

金融機関以外との金銭の貸借について

1.金融機関以外との金銭の貸借

法人を経営していると、事業を拡大させるためや一時的な資金不足等を補うために、金融機関から融資を受けることがあります。ただ、何らかの事情により、金融機関から融資を受けることができず、親族や友人、他の法人などからお金を借りるケースもあります。この紙面では、法人が金融機関以外からお金を借りる場合の利率や留意点について、まとめています。

2.法人税法における無利息貸付けの取扱い

金融機関以外の方からお金を借りる場合、貸し手の好意で利息の授受を行わないことがあります。
ところが、法人税法では、無利息の取引というのは、原則的には存在しないものとされています。法人税法第22条にて、『各事業年度の収入金額には無償による資産の譲渡、サービスの提供、資産の譲受けも含める』と定められているためです。

3.無利息貸付けの場合の課税関係

無利息でお金を貸した場合、借り手に対して利息相当額を寄附したとみなされます。法人税では、課税逃れを防止するために、寄附金については一定額を経費として認めないという規定があります。経費として認められないと、法人税の課税対象となる利益が増え、支払う法人税の額が増えることとなります。
このように金銭の貸借に際して、貸借の当事者間で利息の授受をしていなくても、貸し手に対しては法人税が課税される可能性があります。

4.適正な利率

では、利息の授受をすることとして、利率は何パーセントにすべきでしょうか?
結論としては、貸し手の平均調達金利を適用すべきです。例えば、金融機関から3本の融資を受けていて、それぞれに適用される利率が1.5%、2%、2.5%の場合は、金銭の貸借に際しては2%(※)の利率を適用すべきです。
(※)(1.5+2+2.5)÷3=2%

5.低利率での貸付け

では、適正利率が2%の場合に、0.5%で金銭の貸借を行った場合、法人税の課税関係はどうなるのでしょうか?
答えは、2%と0.5%との差額相当額を貸し手が借り手に寄附したとみなされ、3で記載したように、貸し手に対して法人税が課税される可能性があります。

6.留意点

金融機関以外の者との間で、金銭を貸借する場合、貸借した金額、返済方法、利率等について、当事者間で書面に残しておくことが重要です。書面に残すことで、万が一返済が予定通りに進まなかった場合に、貸し手の権利と借り手の義務が明確になるためです。
また、法人が他者にお金を貸して、その法人の決算日時点で返済を受けていない金額がある場合、貸し手である法人の決算書上、短期貸付金又は長期貸付金として表示されます。これは、金融機関が貸し手である法人の決算書を評価する上で大きな減点対象です。
他者からお金を貸してほしいと言われた場合、それらのリスクを自らが負うことになっても貸すべきなのか、慎重に判断していただきたいと考えます。