企業版ふるさと納税の創設
1.今年度より導入
平成20年5月より導入されたふるさと納税は、寄附した人が受けられるメリットの大きさのため
か、すっかり多くの人に知られるようになりました。
このふるさと納税の企業版が、平成28年度の税制改正で創設されました。
2.概要
企業版ふるさと納税の創設により、平成28年4月20日から平成32年3月31日までの期間に青色申告
法人が、地方公共団体による一定の事業に対して寄附金を支払った場合には、法人税額がこれまでに
比べ、大きく減少することになります。
3.寄附の原則的な取り扱い
法人が寄附金を支払った場合、原則的には支払った寄附金の一部の金額は、損金の額に算入されません。ただし、国や地方公共団体など、一部の機関に対して支払った寄附金は、全額が損金の額に算入されます。仮に法人税率が30%のもと、国に対して100万円の寄附金を支払った場合、100万円が損金の額に算入され、100万円×30%=30万円の法人税が減少します。
4.企業版ふるさと納税の場合
企業版ふるさと納税の創設により、地方公共団体による一定の事業に対して寄附金を支払った場合、3で解説した金額に加え、法人事業税で10%、法人住民税で20%、合計で30%の税額控除を受けることができるようになります。
つまり、寄附を行うことによる法人税の減少額は、寄附金の額×法人税率(約30%)+寄附金の額×30%となり、寄附した額の約60%が減税となります。
5.寄附の条件
2で、企業版ふるさと納税の対象となるのは、地方公共団体による一定の事業に対する事業と触れましたが、平成28年7月1日時点で、対象となる一定の事業はまだ発表されていません。
最初の発表は平成28年8月に予定されています。6県83市町村が立候補をしており、この中から企業版ふるさと納税の対象地方公共団体が選出されます。
また、個人のふるさと納税は、寄附金額が2,000円を超えた部分について税制優遇の対象となりますが、企業版ふるさと納税は10万円以上の寄附が対象となります。
なお、以下の地方公共団体に寄附をしても、企業版ふるさと納税は適用できません。
①本店が所在する地方公共団体
②東京都、東京都23区及び周辺の市
③千葉県市川市、浦安市
④埼玉県戸田市、三芳町
⑤神奈川県鎌倉市、藤沢市、厚木市、寒川町
②から⑤は地方交付税の不交付団体、地方拠点強化税制の支援対象外地域です。
6.お礼の品はもらえるの?
企業版ふるさと納税を行った場合も、個人のふるさと納税と同様にお礼の品はもらえるとされています。
企業版ふるさと納税は、細かい取り扱いなどは今後決定されます。制度の詳しい内容にご興味のある方は、ぜひ弊社担当者までお問合せ下さい。