坂本会計

トピックス

2017.8 事業承継

中小企業の株価の評価方法・改正点

1.3つの評価方法

中小企業の株式の評価方法は、大きく区分すると以下の3つとなります。

・類似業種比準価額方式

・純資産価額方式

・配当還元方式

 

2.類似業種比準価額方式

評価する会社と事業内容が類似する上場企業の平均株価と上場企業・自社の配当、利益、簿価純資産を加味して計算する方法です。

 

3.純資産価額方式

評価する会社の資産と負債を貸借対照表をベースに計算する方法です。ただし、建物や土地などは、貸借対照表の金額をそのまま用いるのではなく、相続税評価額を用いて計算します。

 

4.配当還元方式

会社から支払われる配当金額に基づいて計算する方法です。類似業種比準価額方式と純資産価額方式に比べると、株価は低くなります。

 

5.どの方式で計算するのか

これら3つの評価方法のうち、どの方法を用いて計算するのかは、評価する会社の企業規模や財産の状況によって異なります。

一般的に、事業規模が大きい会社は類似業種比準価額方式を、事業規模が小さい会社は純資産価額方式又は類似業種比準価額方式と純資産価額方式を併用した方式を用いることが多くなっています。

また、株主であっても、その会社の株式の数%しか 所有しておらず、株式を所有しているメリットは配当のみという方もいます。そのような方の所有している株式は、配当還元方式で評価します。

 

6.平成29年度税制改正

平成29年度税制改正にて、類似業種比準価額方式の計算方法が2点大きく見直しになりました。

1点目は、上場企業の平均株価について、直近3ヶ月と前年平均株価のうち最も低い金額を用いることとされていましたが、これに直近2年の平均株価も加えることとなりました。この改正により、上場企業の急激な株価変動が中小企業の株価に与える影響が小さくなります。

2点目は、比準要素の比重の見直しです。評価時に用いる配当、利益、簿価純資産について、これまでは利益が3、配当と簿価純資産が1ずつという比重で計算していましたが、利益・配当・簿価純資産全て1の比重で計算することになりました。この改正により、直近数年の利益が大きい会社の株価は以前よりも低下することが多くなりそうです。

 

7.定期的に評価しましょう

今回の税制改正により、平成28年以前に計算した株価は参考にすることができなくなります。株価は会社の意思決定や事業承継などに大きく影響する重要な要素です。定期的に評価を行い、現状を把握し、適切な対策を講じていきましょう。

弊社でも、株価評価と対策提案サービスを提供しています。詳しい内容にご興味のある方は、ぜひ弊社担当者までお問合せ下さい。