坂本会計

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2016.9 相続・贈与

配偶者に無税で自宅をプレゼントできる?

1.贈与税の配偶者控除

夫婦間で贈与が行われた場合、夫婦間であっても、他人との間の贈与と同じように贈与税が課税されることとなっています。

ただし、夫婦間での贈与について、一定の条件を満たした場合は、贈与税を課税しないという制度があります。贈与税の配偶者控除という制度です。本誌面ではこの制度について解説いたします。

 

2.概要

贈与税の配偶者控除とは、婚姻期間が20年以上の夫婦間で、自宅又は自宅を取得するための金銭の贈与が行われた場合、贈与金額が2,110万円以内であれば、贈与税は課税しないという制度です。

 

3.事例

夫婦間で、贈与税を計算する上での評価額が2,000万円の自宅を贈与したとします。以下は、配偶者控除を活用しない場合と活用した場合の贈与税額です。

【配偶者控除を活用しない場合】

(2,000万円-110万円)×50%-250万円=695万円

【配偶者控除を活用した場合】

2,000万円≦2,110万円   ∴0円

贈与税の配偶者控除を活用することで、695万円もの贈与税を節税することができます。

なお、贈与金額が2,110万円を超えた場合は、超えた部分について、通常の贈与税と同様に計算します。

 

4.節税効果

贈与税以外に相続税での節税効果も期待することができます。

相続税では、贈与をした者が贈与後3年以内に死亡した場合、生前に贈与を受けた財産を相続財産に加算して相続税を計算する生前贈与加算という制度があります。相続税を節税しようとして生前贈与をしたものの、生前贈与がなかったものとみなして相続税を計算するしくみです。

贈与税の配偶者控除を適用して贈与をした財産については、この生前贈与加算の対象外となります。

先述の3の事例に照らし合せると、2,000万円の財産を贈与税がかからずに贈与でき、かつ、2,000

万円の財産を相続税の対象となる財産から除外できるため、大きな節税となります。

 

5.デメリット

不動産の名義を変更する際には、登録免許税や不動産取得税などが発生します。贈与により名義変更を行う場合、相続による名義変更の場合と比べ、登録免許税や不動産取得税が多額となります。自宅を取得するための金銭の贈与であれば関係しませんが、自宅そのものを贈与する場合は、贈与を行う前に、名義変更に係る諸費用がいくらぐらいかかるか、調査しておいた方が良いと考えられます。

 

6.贈与を実施する理由

贈与税の配偶者控除を活用して、配偶者に生前贈与をしたお客さまの多くが、配偶者への感謝の気持ちとして実施するとおっしゃっていました。感謝の気持ちを表現でき、節税にもつながるこの制度の活用にご興味のある方は、ぜひ弊社担当までお問合せ下さい。