坂本会計

トピックス

2013.5 相続・贈与

遺留分とは何か?

1.相続税に注目が集まっています

3月末に成立した平成25年度税制改正法案において、平成27年1月1日以後の相続等に係る相続税については、いわゆる非課税部分である基礎控除額が5,000万円+1,000万円×法定相続人の数から、3,000万円+600万円×法定相続人の数に引き下げられることとなりました。
この引き下げにより、相続税の課税割合は4.1%(平成23年)から6%台程度に上昇するのではないかと言われていて、最近は雑誌等で相続に関する記事を目にすることが増えてきました。

2.相続税がかからなくても・・

ただし、上昇するとは言っても6%台程度であり、3,000万円も財産がないから、自分にとっては無縁の話だと考える方も多いかと思います。
確かに所有している財産の時価相当額が、基礎控除額の範囲内であれば、相続税はかかりません。ただし、相続税がかからない人であっても、相続人が複数人いる場合に留意しなければならないことがあります。それが遺留分です。

3.遺留分とは何か?

父、母、子A、子B人の4人家族がいたとします。父と子Aは不仲で、父は「私の財産は子Aには一切分け与えず、母と子Bの2人に全ての財産を相続させる」という遺言を残して亡くなりました。
このような内容の遺言が有効となってしまうと、母と子B、子Aとの間に著しい不公平が生じてしまいます。そこで存在するのが遺留分という制度です。
遺留分とは、被相続人の兄弟姉妹以外の法定相続人に最低限保障されている財産の取り分のことです。遺留分は、直系尊属のみが相続人の場合は法定相続分の3分の1、その他の場合は法定相続分の2分の1と定められています。
先の事例の場合、母には相続財産の4分の1(=2分の1×2分の1)、子Aと子Bには相続財産の8分の1ずつ(=2分の1×2分の1×2分の1)の財産を受け取る権利が保障されています。

4.請求しないと無効

子Aは保障されている分の財産を受け取ることができず、遺留分を侵害されている状態です。
ただし、遺留分を侵害されている状態があるというだけでは、子Aは財産を取り戻すことができません。子Aが母や子Bに対して、本来もらうはずであった遺留分を取り戻す権利(遺留分減殺請求権)を行使することにより、子Aは初めて財産を取り戻すことが可能となります。

5.おわりに

相続対策というと、税対策をイメージされる方が多いかと思いますが、円滑な財産承継を実現するためには、今回ご紹介しました遺留分への配慮も欠かせません。弊社では、「相続税がいくらかかるのか」、「遺留分を侵害せずに財産承継するためには、どのように分割すれば良いのか」などを試算する相続シミュレーションサービスの提供を5月より開始しました。ご興味のある方は、お気軽に弊社担当者までお問い合わせ下さい。
(参考資料)
・清文社『新くらしの税金百科2012-2013』
・すばる舎『磯野家の相続』