坂本会計

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2013.10 相続・贈与

贈与税がかからないのはいくらまで?

1.2つの計算方法

贈与税の計算方法は2つあります。1つは『暦年課税』、もう1つは『相続時精算課税』です。

2.110万円=暦年課税

暦年課税を選択した場合、贈与税の額は以下の算式により計算します。
贈与税額=(その年の1月1日から12月31日までに贈与を受けた金額の合計額ー110万円)×税率
以下は平成25年中に200万円の贈与を受けた場合の例です。
(200万円-110万円)×10%=贈与税額9万円
暦年課税を選択した場合は、1年間に110万円以内であれば、贈与を受けても贈与税は生じません。
また、適用する税率はその年の1月1日から12月31日までに贈与を受けた金額の合計額から110万円を差し引いた後の金額がいくらかによって決まります。この金額が大きくなるほど、税率も高くなります。税率は最低が10%、最高が50%です。
なお、平成25年中に5人の人から200万円ずつ贈与を受けた場合の贈与税額は、以下の通りです。(200万円×5人-110万円)×40%-125万円=贈与
税額231万円
(200万円-110万円)×10%×5人=贈与税額45万円
ではありませんので注意が必要です。

3.2,500万円=相続時精算課税

相続時精算課税を選択した場合、贈与税の額は以下の算式により計算します。
贈与税額=(その年の1月1日から12月31日までに贈与を受けた金額の合計額ー2,500万円(※))×20%

(※)前年以前に、この相続時精算課税を活用して贈与税の申告をしている場合、2,500万円から前年以前に贈与を受けた金額の合計額を差し引きます。
以下は同じ人から平成24年に2,000万円、平成25年に1,500万円の贈与を受けた場合の例です。

(1,500万円ー(2,500万円ー2,000万円))×

20%=贈与税額200万円

相続時精算課税を選択した場合は、同じ人から贈与を受けた金額の合計額が2,500万円以内であれば、贈与税は生じません。
また、2,500万円を超えた部分については、一律20%の税率を乗じて、贈与税額を計算します。

4.どちらが得?

ここまでの内容で暦年課税と相続時精算課税とを比較すると相続時精算課税の方が得をするように見えます。しかし、暦年課税を選択した場合は贈与税の申告さえすれば贈与に関する税務手続きが完結するのに対し、相続時精算課税は『相続時に精算して課税する制度』であるため、贈与税の申告だけでは完結せず、必ず相続税の申告もしなければなりません。
さらに、相続時精算課税の場合、相続税の申告の際に多額の相続税が生じる可能性もあります。

5.簡単に決めるべきではありません

暦年課税と相続時精算課税のどちらを採用すべきかは、私たち専門家でも判断に悩むケースが多くあります。相続時精算課税を適用するための要件、メリット・デメリット、注意点などはとてもこの紙面では書ききれません。ご不明の点がございましたら、弊社三代川(みよかわ)までお問い合わせ下さい。