坂本会計

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2013.11 相続・贈与

住宅を取得するための贈与には特例がある?

1.住宅取得等資金の贈与は非課税?

前号(No.18)にて、贈与税の計算方法には『暦年課税』と『相続時精算課税』の2つがあると述べました。この2つの計算方法とは別に、本来であれば全額が贈与税の課税対象ですが、一定の要件を満たすと、贈与税がかからない又は贈与税の課税対象となる金額が少なくなる制度がいくつかあります。そのうちの1つが『父母や祖父母などの直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税』です。

2.制度の概要

『父母や祖父母などの直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税』とは、以下の全ての要件を満たす贈与については、一定の金額までは贈与税が非課税となるという制度です。

①贈与を受ける者
贈与を受ける者が贈与をする者の子や孫で、かつ贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上であり、贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であること。

②贈与の内容
自己の居住の用に供する家屋を取得等するために、平成24年1月1日から平成26年12月31日までの間に行われた金銭の贈与であること。

③居住開始日
贈与を受けた者が、贈与を受けた金銭の全額を用いて、贈与を受けた翌年の3月15日までに自己の居住の用に供する家屋を取得等し、かつ居住を開始すること。

④取得等した家屋の内容
取得等した家屋は日本国内にあり、かつ登記簿上の床面積は50㎡以上240㎡以下であること。(店舗兼住宅の場合は2分の1以上を自らの居住の用に供していること)

3.非課税限度額

非課税限度額は、贈与を受けた年によって異なり、平成25年中に贈与を受けた場合には700万円、平成26年中に贈与を受けた場合には500万となります。

4.贈与金額>非課税限度額の場合

贈与金額>非課税限度額の場合、非課税限度額を超えた部分の金額については、贈与税の基本的な計算方法で ある『暦年課税』か『相続時精算課税』により、贈与税の金額を計算することになります。

5.計算例

住宅を取得するために平成25年中に金銭3,500万円の贈与を受け、非課税限度額を超えた部分については相続時精算課税を使う場合、以下の算式により贈与税額を計算することとなります。

①住宅取得等資金特例
3,500万円>700万円 ∴非課税額=700万円

②相続時精算課税
イ.(3,500万円-700万円)ー2,500万円=300万円
ロ.300万円×20%=60万円

6.留意点

この紙面では、制度のイメージをお伝えすることを重視しており、制度を受けるための要件の細かな部分や取得等した家屋が省エネ等住宅や中古住宅に該当する場合の取り扱いについては割愛しております。実際にこの制度の適用をご検討される場合は、弊社三代川(みよかわ)までお問合せ下さい。