名義株、ありませんか?
1.名義株とは
現在は会社を設立する場合、株主は1人でも良いとされていますが、平成2年に商法が改正される前は株式会社を設立するためには7人以上の株主が必要とされていました。7人以上の株主が必要とはいえ、お金を出資してくれる人を7人以上揃えることは難しく、名目上は7人以上がお金を出資したことにするものの、実際は創業者が全額を出資しているケースが多く見受けられました。このように実際にお金を出資した人と株主名簿や定款上株主となっている人とが異なる株式を名義株と言います。
2.名義株の問題点
誰が株主なのかは、名目ではなく実質で判定をします。実際に出資をした人が株主です。
名目上は株主となっている人が、自分は出資はしておらず名前を貸しただけだと認めてくれれば誰が株主なのかという点で揉めることはありません。
問題は実際には出資していない人が、自分は株主であると主張した場合です。
会社の株式の評価額は、会社の業績に応じて変わります。毎期安定した利益を計上している会社の株式の評価額は、当初出資した際の何十倍にも増加することもあります。
もし、実際に出資していないが株主名簿上株主となっている人から、「自分は株主である、自分が所有している株式を現在の評価額で買い取ってほしい。買い取ってくれないなら嫌がらせをする」と言われたら、会社は困ってしまいます。
3.問題が顕在化する前にすべきこと
名義株がある場合、名目上株主となっている人に対し、名目上株主となっているものの、実際は出資 していないことを認めてもらい、株主名簿の変更に同意をしてもらうべきです。その際は、ただ口頭で合意を得るだけでなく、名目上株主だった人の自署押印入りの確認書を残しておくことが望ましいと考えられます。
4.やってはいけないこと
名義株がある場合に、やってはいけないことは先送りして名義株の状態を継続することです。
会社の株式も相続財産となります。
名目上株主だった人が亡くなり、その相続人から名義株ではない、自分にも株主としての権利があるはずだと主張された場合、その主張を退けられるだけの証拠が存在しないケースが多く、その相続人の主張を採用せざるを得なくなってしまいます。
名義株であることを知っている人が元気なうちに3で述べた確認書を取り交わし、株主名簿を変更すべきです。
5.名義株があるケース
名義株は、1で述べた通り平成2年の商法改正前から存在している会社に多く見られます。
自社の株主名簿に目を通し、名義株が存在しないかどうか改めてチェックしてみてはいかがでしょうか。(三代川)