坂本会計

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2018.1 税制改正

平成30年度税制改正大綱の概要

1.税制改正大綱

平成29年12月14日に税制改正大綱が決定されました。税制改正大綱とは、翌年以降の税制のあり方を網羅的にまとめたものです。税制改正大綱に記載されている内容は、翌年の通常国会にて可決されるまでは導入見送りとなる可能性もありますが、そのまま導入されることがほとんどです。

本誌面では、今回決定となった税制改正大綱の中で、中小企業や個人の方に特に影響が大きい項目をピックアップして解説します。

2.給与所得控除の見直し

給与所得控除とは、一定額を働くための必要経費として収入から差し引き、課税対象となる所得金額を減らす、会社員など給与収入を得る人を対象としたしくみです。

この給与所得控除について、平成32年より、年収が850万円を超え、かつ、同一生計内に22歳以下の扶養親族がいない方を対象に、控除額を減額することとなりました。控除額が減額されることにより、課税対象となる所得金額が増え、所得税・住民税は増額となります。

3.青色申告特別控除の見直し

青色申告特別控除とは、所得税の確定申告を青色申告により行う人を対象に認められている控除です。

事業所得又は事業的規模の不動産所得を有する人で、正規の簿記の原則に従って取引を記録し、確定申告書に貸借対照表を添付している人は65万円、それ以外の人は10万円の控除が認められています。

今回の改正では、平成32年以降、65万円の控除を55万円に引き下げることが決定されました。

ただし、以下の①又は②のいずれかの方法を採用する人は、控除額は現行の65万円のままで良いことと

れました。

①仕訳帳及び総勘定元帳を電磁的記録により保存する方法

②所得税の確定申告書等を電子申告により提出する方法

4.事業承継税制の見直し

事業承継税制とは、現経営者から後継者に対して会社の株式を贈与・相続する際の贈与税・相続税を猶予することにより、事業承継を促進しようという制度で平成21年度税制改正より導入されています。

この事業承継税制を適用するためには、適用開始から5年間の平均で、従業員数の8割以上の雇用を維持しなければいけないという要件があります。この要件を満たすことが難しいという理由で、事業承継税制の適用件数は、多い年でも年間500件程度、ほとんどの年は年間150~200件程度にとどまっていました。

今回の改正により、この雇用維持要件を満たさない場合であっても、都道府県へ報告書類を提出することにより、事業承継税制を適用することができるようになりました。

また、これまでは会社の発行済株式の3分の2までの株式の贈与・相続について、贈与税・相続税の80%を猶予するというものでした。

今回の改正では、会社の発行済株式の100%の株式の贈与・相続について、贈与税・相続税の100%を猶予することとされました。

事業承継税制の改正は、平成30年1月1日から平成39年12月31日までの間に行われる贈与・相続が対象となります。(三代川)