坂本会計

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2022.4 個人

社宅家賃はどの程度収受すべき?

1.社宅とは

社宅とは、会社が役員・従業員の居住用に用意した住宅のことです。会社が所有している自社所有の社宅と、会社が他者から賃借しているいわゆる借上げ社宅とがあります。

会社が役員・従業員から社宅家賃を収受しなかった場合、会社から役員・従業員に対して利益供与をしたものとみなされ、役員・従業員に対して所得税が課税されることとなります。本誌面では思わぬ形で所得税が課税されることを防ぐために、社宅家賃をどの程度収受すべきかについて解説します。

 

2.従業員の場合

自社所有と借上げのどちらの場合であっても、まずは以下の計算式により、通常の賃貸料を計算します。

①家賃相当部分

その年度の家屋の固定資産税の課税標準額(※)×0.2%+12円×その家屋の延べ面積(㎡)÷3.3㎡

②地代相当部分

その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×0.22%

③通常の賃貸料=①+②

③の金額の50%以上の金額を従業員から社宅家賃として受領していれば、従業員に対して所得税が課税されることはありません。

(※)固定資産税の課税標準額

固定資産税には評価額と課税標準額があります。住宅用用地や小規模住宅用地の場合、課税標準額は評価額の3分の1等の金額となります。社宅家賃の計算で用いる金額は課税標準額です。評価額が減額されている=固定資産税が軽減されていて、社宅賃料に転嫁されるコストが少ないという点も加味しているようです。

 

3.役員の場合

自社所有と借上げ、小規模住宅と小規模住宅以外とで計算方法が変わります。小規模住宅というのは床面積が木造の場合は132㎡以下、木造以外の場合は99㎡以下の住宅のことです。

【小規模住宅の場合】

自社所有と借上げ、どちらの場合であっても、2の従業員の場合と同じ算式で計算した通常の賃貸料以上の金額を役員から社宅家賃として受領していれば、役員に対して所得税が課税されることはありません。従業員の場合は通常の賃貸料の50%以上の金額でしたが、役員の場合は通帳の賃貸料以上の金額を受領する必要があります。

【自社所有・小規模住宅以外】

以下の計算式により計算した通常の賃貸料以上の金額を受領していれば役員に対して所得税が課税されることはありません。

①家賃相当部分

その年度の家屋の固定資産税の課税標準額×10%(木造は12%)÷12

②地代相当部分

その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×6%÷12

③通常の賃貸料=①+②

【借上げ社宅・小規模住宅以外の場合】

次の①と②のうち多い金額以上を役員から社宅家賃として受領していれば、役員に対して所得税が課税されることはありません。

①自社所有・小規模住宅以外と同じ計算式で計算した金額

②会社が貸主に支払うその社宅の月額賃料×50%

(三代川)